第五夜 強襲 9
胸を張り自信満々に自己紹介をする湊を見て、二人はあだ名の意味をようやく知る。
「ボクの場合、BLでも百合でもノーマルでも何でもオケー!基本は小っさな子が犯…」
「どぅわーっ!!!!バカジゲン!!初対面の相手を前に何言おうとしてんだっ!!」
何故か真っ赤な顔をして叫ぶ詩歌を、純粋な二人は頭にクエスチョンマークを浮かべ黙って見ていた。
(ビーエル?ユリ?何だろ、何かの専門用語?)
(あー、ノーマルって…オタクなのに普通?)
「何でそこで詩歌が照れるのさ、リア充はやだね。ロマンって物を分かってない」
「ロマンっていうか、お前が言うと変態っぽいんだよ!!」
丁々発止にやり合う二人を見て、野絵は二人の仲の良さをひしひしと感じた。
何でも言い合える仲というのは、本当に素晴らしいな、と心の中で密かに思う。
「あー、要するにアニメとかゲームとかが好きなの?」
「そうそう!シオン、君は聡いねぇ!今度ボクのコレクションを見せてあげるよ」
満足気に頷くと、彼女は懐からカードを取りだし、机の上に並べ始めた。
長方形のタロットカードみたいな札で、興味津々だった野絵は前のめりになり、凝視する。




