第五夜 強襲 7
「えー!今日はダメなの?」
「後日っていつ?すぐならいけど…」
「図書室は文芸部優先だと思うけど!」
不平不満を訴え、口を尖らせている彼女達に余裕の笑みを見せると、詩歌は人指し指を立て提案した。
「それじゃ明日はどうだ?土曜だし皆で図書館にでも行かないか?」
「行くっ!」
「行きます!」
「行きたいっ!」
「絶対行くよ~!!」
先程までの不満そうな態度は何処へやら、彼女達は元気よく二つ返事をし、満面の笑みを見せる。
「じゃあ、明日10時に図書館で」
詩歌が爽やかな笑顔を見せると、女子達は嬉々として帰っていく。
明日何着ていこうー、どうしようー、等と浮かれた声が廊下に響き、その後静かになった。
「にゃははー、詩歌も大変だねぇ」
「ふっ、まあイケメンの定めってやつだろうな。俺みたいに魅力が溢れ、輝やいていると女子がほっとけないのさ」
「イケヘンの間違いじゃないですか?」
しらけた口調でツッコミを入れる野絵に、ショックを受けた詩歌は、この世の者では無い者を見るかのような視線を向ける。
「あー、すごい。モテモテ…」
瞳をチカチカさせ、眩しそうに詩歌を見ていた士音に、君もだよと心の中でツッコミを入れる。
「さて、文芸部の皆もいなくなったことだし、本題に入るか」
少しほっとしたような表情を見せると、詩歌は機敏な動きで扉に鍵をかけ、次々とカーテンを閉めていく。




