第五夜 強襲 6
ジゲンを止めに入ろうとした詩歌だったが、背後から痛い位の視線を感じ、こほんと一つ咳払いをする。
(まずはこっちが先決か…)
「詩歌君、何この人達?」
「部外者は出ていってもらいましょうよ」
「そうよ、そうよ。貴重な部活の時間を潰されちゃったら困るもの~」
外見は大人しそうな感じの子達なのだが、野絵達を見る目が完全に据わっていて、何とも言いがたい迫力があった。
中学時代の自分と何となく雰囲気が似ている子が数人いて、何だが懐かしく思う。
自分も容姿には力を入れなかったが、彼女達も全くひけをとっていない。
(月だけに没頭出来たら楽なんだけどなぁ…)
少し羨ましい気持ちも芽生えたが、高校デビュー出来たお陰で皆に会えたんだ思うと、外見を磨く事も悪いことではないのかもしれないと改めて実感出来た。
現に真砂の女子力の高さは目を見張る物があり、それだけでも人を惹き付ける魅力があることを身を持って体験したのだから。
「すまない皆、ジゲン達との先約があったのをすっかり忘れてたんだ。また後日、時間を取るから今日は勘弁してくれないか?」
慌てて謝罪する詩歌の言葉で、野絵は我に返る。




