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第五夜 強襲 5
「そういう誤解を招く様な事を言うなっ!」
「にゃはは、ごめんごめんご。可愛い子を見るとつい、からかいたくなっちゃうんだよね~!」
そういうと彼女はねっとりとした視線で野絵を見やる。
頭の先から爪先まで舐め回すように見つめ、まるで品物でも見定めているかのような瞳だ。
何故か野絵ではなく、士音が身の危険を感じ、かばうように前へと出る。
当の本人は訳がわからず、たたニコニコと笑っていた。
「はっ、いかん。つい変態モードがっ!野絵きゅんに嫌われてしまうぅ!!」
「その呼び方やめろよ。約一名、思いきり引いてるぞ」
先程解かれたかと思われた警戒心が再燃し、士音は訝しげな瞳を向ける。
「およよ、そんなに警戒しないでおくれよー。今日は大事な儀式だってのにぃ」
「儀式?」
おうむ返しをする野絵にジゲンと呼ばれた彼女は大袈裟に反応する。
再び野絵の頭にくっつくと、頬を擦り寄せてきた。仕方がないので野絵は、そのままじっとしていることにする。
「ノエノエ、可愛い~!!」
「ジゲン!全然話が進まないだろうが!とにかくだな…」




