第五夜 強襲 4
「あいたっ」
「ボクがいないと君達ひよっこのままなんだぞ!感謝するよーに!」
「それどういう…」
意味?と士音が聞こうとした矢先、扉の向こうから賑やかな話し声が聞こえ、中断されてしまう。
楽しそうな女子達の声に紛れ、一人聞き覚えのある声が聞こえてきた。
よく通る気品のある声で、柔らかな響きがする。
顔を見ずとも詩歌だと、その場にいた皆が分かった。
「だからさ、今日はごめん。急遽休みにしてくれないか?」
「えー、嫌だよ。今日こそ読破して感想言い合おうって言ったじゃない!」
「そうだよ詩歌君!新学期なんだし、気持ちも新たに活動しましょうよ!」
騒がしい御一行が図書室へと入室してきた。
女子四人に詩歌一人というハーレム状態で、何故か皆必要以上に詩歌にくっついているように見える。
「やあやあ、詩歌!今日もモテモテだね!」
「ジゲン、茶化すなよ!文芸部のみんなだろ」
ジゲンと呼ばれた彼女はイタズラな笑みを浮かべると、野絵の肩を寄せ、耳元で囁いた。
「ハーレムには変わらないよねー。君もそう?落とされちゃったクチ?」
「へ…私?」
突然の問いに目を丸くしていると、いつの間に来たのか詩歌が彼女の頭を軽く叩いた。




