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第五夜 強襲 3
「やほっ!もうボク待ちくたびれちゃったよ!!」
太陽のような笑顔を見せると、悪びれもなく野絵の頭にのし掛かってくる。
痩せ型の少女で、背は一般女子よりも少し高め位だろうか。
艶のある黒髪をツインテールにしていて、彼女が動く度に元気よく揺れる。
一番印象的なのは、三ぱく眼の桜色の瞳だ。
特別大きい訳ではないが、赤縁の眼鏡の向こうに好奇心の塊のような光が見える。
詩歌達と同じ赤いリボンをしているのだか、周りに黒いレースが施されていて、スカートの裾も同様にアレンジされていた。
「待ちくたびれたって、何をです?」
野絵が小首を傾げると、彼女は軽快に笑い出す。
「何言ってんのー!君たちを待ってたんしょ!昨日はボクをお忘れで、お楽しみだったみたいじゃないかー!」
「お忘れって…先輩、詩歌の知り合いですか?」
士音の瞳が警戒をとき、和らぐのを確認すると彼女は軽く野絵の額にデコピンをした。




