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第四夜 天使の裁き 26
その事が真砂を余計イラつかせた。
(昨日あんなことがあったのに話しかけるか?フツー)
「市ノ宮先輩、私どうしても一つだけ気になってる事があるんです…」
「…何?」
内心、ギクリとし真砂は振り向く。
魔法を明かしたのはいいが、自分の本性…しかも一番見られてはいけない部分をさらけ出してしまったのは、さすがに自分の詰めの甘さを認めざるを得ない。
「先輩って、もしかして…!!」
アメジストのような瞳が真っ直ぐ見つめてくるので、心の中を見透かされてしまうのではないかという思いに駆られる。
「な、何よ…」
強がってはみたが、少し声がかすれてしまっていた。
「先輩のその髪型って、うるち米ヘアーですか?!」
「は、はあぁ?うるち…何?!」
想定外のことを言われ、空いた口が塞がらなくなる。
「それってうるち米ヘアーですよね?私はうるち米と餅米だと餅米派なんですが…。うるち米の中にも
月の名前が付くものがいくつかあるのをご存じですか?!」
いきなり訳の分からない事を口走る野絵に、真砂は呆気に取られてしまう。




