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第四夜 天使の裁き 21
「市ノ宮先輩とルナビー退治に行ったって詩歌から聞いたよ」
「ルナビー…退治?!」
思わず詩歌の顔を見ると、彼は顔の前に片手を上げ、“ゴメン”のポーズを取っていた。
(なるほど…、そういうことにしたのか…)
全てを察知した野絵は、士音に話を合わせ、ぎこちない笑顔を作る。
「そ、そうなの!魔法を使う所を見せてくれるっていうから見学してみたいな~と思って…」
「そうなのよ、佐山君!!この子がどうしてもっていうからアタシ仕方無く…」
それまで黙って話を聞いていた真砂が、いきなり横槍を入れてきた。
「危険だって言ったのよ?でも袖ノ月さんどうしても見たいって利かなくて…。それでこのザ…いえ、こんな事に…」
(良く言うよ…!)
怒り以上に呆れた感情が勝り、野絵は口をつぐむ。
真砂はさも心配していたかのように演技し、瞳を潤ませている。
「野絵、約束して」
「え、ハ、ハイ?」
「これからは危険な事する前には、オレに一言相談して」
「う、うん。分かった…」




