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第四夜 天使の裁き 18
「分かってない!全然分かってないわよ!!」
一人取り残されてしまった野絵は、複雑な心境で二人を見ていた。
(これが世に言う修羅場というものなのかな…?)
恋愛沙汰のことは全然分からない野絵だったが、真砂の次々に変わる表情を見て、不思議に思う。
(…私にも分かる時が来るのかな?)
「とにかく、もうすぐここにプリンス君も来るし、ちゃんと謝れよエンゼル!」
「嫌っ!!」
「嫌…ってお前なああぁ~!!!!」
怒り心頭の詩歌だったが、真砂が頬をふくらせたままだんまりを決め込んでしまったので、諦めた表情でため息をついた。
体をこちらへ向き直すと、すまなそうに項垂れる。
「こいつこんなんだからさ、代わりに俺が謝るよ。すまなかったな、ツッキー」
「いえいえ、そんな…。全然大丈夫ですから」
「こいつを野放しにしたのは俺の不注意だ。怖い思いをさせて、ごめんな」
長いまつげが影を落とすのを見て、野絵は慌ててしまう。
「えっと、えと。それより先輩!士音君がこちらに向かってるっていうのは本当ですか?」
「あ、ああ。めちゃくちゃ心配してたぞ」
「心配…?士音君が?」




