第四夜 天使の裁き 17
「大体お前はいつもやることが過激なんだよ!!ちゃんと反省してるのか?!ツッキーに早く謝れ!」
「…」
「それにデビルになってるし。約束忘れたのかよ?!もう学校に来れなくなってもいいんだな?!」
矢継ぎ早に怒る詩歌に対し、真砂は仏頂面で黙っている。
またキレてしまうんではないかと、内心ヒヤヒヤしていた野絵だったが、真砂の表情は段々と曇っていった。
「…バカ」
振り絞るようなか細い声だった。
意外な一言に野絵は目を丸くする。
「詩歌のバカバカバカバカバカっ!!そんなに怒らなくたっていいじゃない!悪いのはその女だもん!アタシの詩歌を取ろうとするから…っ!」
先程まで怒り狂っていた彼女は今度は瞳に涙を浮かべ、叫んでいる。
詩歌の胸を両手の握りこぶしで、何度も何度も叩く真砂は可愛らしい女の子そのものだった。
その変わりように野絵は呆然とし、口が開いたままになってしまう。
(…な、何だろう?先輩って二重人格…?!)
「いつお前のになった?!つーか痛いからやめろよ」
始めは軽く叩いていた彼女だったが、感情と共に叩く力がエスカレートしていく。
「バカバカ!!アタシの気持ちも知らずに…!!」
「いてて、分かった。分かったから!」




