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第一夜 満月の出会い 7
突然現れ消えてしまった彼には、そう思わせてしまう不思議な魅力があった。
(また会えるよね…?)
さっきから胸の鼓動が鳴りやまない。
月を見ている時の高揚感に似ているな、と頭の隅で冷静に思う自分がいた。
辺りはまた温度を無くし、薄明かりだけが野絵の足元を照らしている。
爆発音や何かが壊れる音が響き渡り、野絵は拳を強く握る。
(あの人が戦っているんだ…、きっと)
根拠なんてないが、何となく確信があった。
目を凝らして宙を見るが姿は見えない。
見えるのは少しずつ欠けていく月と星々だけ。
(頑張れ!負けないで…!!)
この日野絵は、爆発音が聞こえなくなるまで空を見上げ祈り続けていた。