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第四夜 天使の裁き 7
言葉を失ってしまった野絵と真砂の間に一陣の風が吹き、二人はしばし対峙する。
緊張感の漂う中、海鳥が一声鳴いた。
それと同時に真砂が叫ぶ。
「パワーズ!!」
彼女の身体から目映い光が溢れ出したかと思うと、白い煙幕が辺りに立ち込める。
「何…?魔法…っ?!」
咄嗟に腕で顔を覆いガードする。
煙が晴れてきたのでそっと目を開けると、中から白い巨体が現れた。
高さ3メートルはあるだろう真っ白な異物は、瞳を固く閉じ、両手を胸に当てている。
その腕には鎖の様なものが巻き付いていて、背中には大きな羽がついていた。
異様な雰囲気を醸し出していて、野絵は思わず息を飲む。
「これは…天使…?」
「ご名答。アタシのお友達のパワーズよ。可愛いでしょ?」
金属のような肌をした天使は呼吸もしておらず、全身真っ白。
金髪の長い髪が風になびいているが、全然可愛くは見えない。
寧ろ恐怖を感じた。
「どうして魔法を…?!」
「あなたに体感してもらおうと思って」
「体感って…何をです?!」




