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第四夜 天使の裁き 4
(フフ、そうよ。庶民はアタシのこと崇めてればいいのよ!同じ土俵にあがるなんて絶対に許さない!)
凛とした表情で野絵を見据えると、彼女は強い口調で話し出した。
「これからちょっと付き合ってくれる?」
「えっと、すみません。今日は成城先輩と先約が…」
「大丈夫よ。詩歌からの指示で、アタシと出掛けてきてほしいって言ってたから」
張り付けたかのような笑顔で話す真砂に、野絵は何の違和感も感じない。
「そうなんですか?今日は士音君だけでいいのかな?」
「そうそう。別に袖ノ月さんは来なくっていいって。さ、だから行きましょ」
「でも…」
渋る野絵だったが、真砂が背中を押すので仕方なく歩き出す。
いつの間にか取り出したのか、真砂はハンカチ越しに野絵を押していた。
(ああっ、嫌だわ!こんなの触ったらアタシが穢れちゃうっ!!でももう少しの辛抱よ、頑張れ真砂!!)
 




