第四夜 天使の裁き 3
長身で細身な彼女は同じ女性とは思えない程、しなやかで美しかった。
「あなたは、昨日の…」
「覚えていてくれたの?光栄だわ」
ほんの少し見ただけだったが、彼女の姿は脳裏に焼き付いていた。
昨日、詩歌を追い回していた少女だ。
(すごく怒ってたけど、仲直りはしたのかな?)
「昨日魔法について聞いたのね?」
「はい、聞きました」
「どこまで聞いたの?ルナビーについてはもう聞いたのかしら?」
口調は丁寧だが、野絵に反論の余地を与えない威圧感がある。
悪く言えば高圧的な態度だ。
そんなことよりも彼女の美しさに圧倒されていた野絵は、ぼんやりと流れるような声を聞いていた。
「これからちょっと…」
「せ、先輩は人間ですかっ?!」
真砂の声を遮り、叫ぶ野絵。
「はい?」
「だってだって、あまりにも綺麗だから…!まるで天使のよう!」
「フフ、そうね。さしずめこの地に舞い降りた天使って所かしら」
二人ともかなり恥ずかしい言葉を口にしているが、全く気にしている素振りはない。
さっきまで威圧的な口調だった真砂は、まんざらでもない様子で笑顔を見せる。
「うわー、やっぱり高校って凄い所なんだなぁ!イケメンに美少女に魔法に…ホント凄い!」
瞳をキラキラ輝かせながら、自分を見つめてくる野絵に真砂は優越感を感じる。




