第三夜 天文学部、設立?! 35
優しく手を差し伸べてくれる士音。
また再会出来た不思議な先輩、詩歌。
(二人と友達になりたい…。だって、だって私は高校デビューするって決めたんだから!)
勢いよく顔を上げると、野絵は月に向かって宣言した。
「私、魔法使いになるっ!!」
(皆の仲間になるんだ!……ん?仲間…?!)
気持ちはスッキリしたものの、今度は仲間というキーワードが引っ掛かる。
(あれ…?私も何か仲間的な物を探していたような…?!)
しばしの沈黙。
月明かりの中、野絵は今日の出来事を思い返してみた。
(今日は朝早く家を出たんだよね。…はて?何でだったっけ?)
「って、あーーーっっ!!!!天文学部の仲間探してたんだったーーー!!!!」
ここにきて大事な事を思い出す。
大きな声で叫んでしまったので、階下の母に怒られ、近所の犬には吠えられてしまう。
「あわわ、ごめんなさい…」
慌てて窓を閉め反省すると、壁に寄りかかる。
(馬鹿じゃないの私ってば!あんなに張り切って探すって言ってたのに)
こんな事今まで無かった。
朝昼晩、月を中心に考えて生活してきたのに、それを忘れてしまう位、詩歌の話は衝撃が強かったのだ。
(明日、成城先輩も天文学部に入ってくれるかお願いしてみよう!)
もう一度月を見上げ、満足気に笑うと野絵はベッドへと潜り込んだ。
(明日も綺麗な月と楽しい日になりますように…)




