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第三夜 天文学部、設立?! 34
雨の日も曇りの日も、目に見えなくても月はそこにあるのだから。
――――そりゃもちろん、二人には仲間に入って欲しいさ。でも強制はしない。
夕刻の詩歌のセリフを思い出し、野絵はその場に突っ伏した。
(仲間…それに魔法かぁ…。使えるなら使ってみたいな。でも…)
何故だろう、胸に何かが引っ掛かる。
(あの瞳かな…)
強制はしない、そう言った時に詩歌の視線が外れたのを野絵は見逃さなかった。
それまで相手の目を見てきちんと話す人だったので、何だか気になったのだ。
(…なんてね、本当はちょっと怖いのかも)
自分は月マニアであってそれ以外のことはからっきし。
野絵はそれをよく理解していた。
運動神経は神がかり的に悪く、何かと戦うなんてそんなこと出来るのか、それが不安だった。
(足引っ張っちゃうかも…でも…)




