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第三夜 天文学部、設立?! 33
「じゃあ詩歌!また明日ね!」
爽やかな笑顔で帰って行くエンゼルに詩歌は一抹の不安を覚える。
エンゼルこと真砂とは中学生の頃からの付き合いで、彼女の事は何もかも熟知している。
表向きは品行方正な真砂だが、本当の彼女は執念深く、自分が欲しいと思った物は何でも手にする子だ。
その逆も有りで、自分がいらないと思った物は徹底的に排除か拒否をする。
見た目はあだ名の通りエンゼルなのだが、実は冷酷な心の持ち主なのだ。
(ツッキーにはしばらく近付けないようにしないとな)
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その夜、雲間から時折覗く月を野絵はぼんやり眺めていた。
少し欠けてきた月は煌々と輝き、見ているだけで心が安らぐ。
(はー、今日は色んな事がありすぎて、一瞬月の事忘れそうになっちゃったよ…)
野絵が月を好きになってから、一日足りとも空を眺めない事は無かった。




