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第三夜 天文学部、設立?! 28
何だかとても恥ずかしい事のように思えてきて、言うのを思い止まったのだ。
「ん?私は…何だよ?」
「……いえ、何でもありません。とにかく、何かと戦っていたんですよね?あんなに血だらけになって…」
目を伏せ、静かに声のトーンを落とす。
野絵の長い睫毛に憂いを感じ、詩歌はしばし無言になる。
(ぽやぽやしているように見えて、この子は以外と周りを見ているんだな)
「…そうだな、ツッキーのいう通りだ」
「戦っているって何と…?!どうしてそんな事…」
少し青い顔をしている野絵を気遣ってか、詩歌は彼女の頭に手を乗せると、満面の笑みを見せた。
「とりあえず、続きは明日にするか。色んな事聞いて混乱しただろ?」
「で、でも…」
不安そうな声を出す野絵の髪を、詩歌は少し乱暴に掻き回す。
「わ、わわわっ」
「はははっ、お前背が低いからからかいやすいな」
「むぅ、何ですかそれ」
膨れっ面をしている野絵の頭をまだ掻き回していた詩歌だったが、背後から士音に腕を取られ、動きが止まる。
「…それ位で」




