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第一夜 満月の出会い 5
一番印象的なのは、優しげなエメラルドの瞳。
長い睫毛が動く度、憂いを感じさせる。
引き締まった体にはほどよく筋肉があり、足もスラリと長い。
「あなた、いわゆるイケメンってやつですね?」
「…へ?」
「今まで何度かお目にかかりましたが、あなたのように人間離れした人は初めてです。あ、これをどうぞ」
真顔で言われ、少年は思わず笑ってしまう。
差し出されたハンカチを受けとると、そっと額に当てる。
「そりゃどうも。ハンカチも」
「それで一体何をしてたんです?ちょっと特殊な人間っていうのは急に空から降ってくるものなんですか?病院行きますか?」
「いや、それなんだが…」
少年が何か言いかけた時、頭上でまた爆発音が鳴り響いた。
耳をつんざくような音に体が震える。
「悪い、もう行かないと」
「行くってケガしてるのに?」
「こんなの大した傷じゃない」
大したことないというわりには、先程渡したハンカチはもうほとんど血で染まっていた。