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第三夜 天文学部、設立?! 26
チラリと士音の方を見ると、彼は彼で真っ赤になって硬直していた。
野絵は喜びのあまり、無意識に支えていてもらった頭を士音の腕に擦り付けていたので、彼は嬉しいやら恥ずかしいやらで困っているようだった。
(か、可愛すぎる…!!)
(あいつ、相当惚れ込んでるな…)
呆れ顔で士音を見ていた詩歌だったが、「コホン」と咳払いを一つすると、背筋を伸ばし真剣な表情になった。
「さっきの話に戻るが、俺は魔法とは“思いの強さ”だと思う」
「思い?」
正気に戻った野絵が士音に起こされながら、ゆっくり立ち上がる。
スカートの裾をはらうと、まだ真新しい制服の香りが鼻に残った。
「そう、俺は魔法使いになる素質は本人は気付いていないだけで、皆持っているものだと思ってる。ただ何かを成し遂げたい、好きな事を追求したい。そんな思いが強い者だけが魔法を使えると思うんだ」
彼の言葉の節々に力が込められていて、野絵と士音はすっかり話に聞き入っていた。
(どうしてだろう…、目がそらせない)




