47/124
第三夜 天文学部、設立?! 25
改めて外の世界を見ると、彼の魔法の力を再認識させられた。
「あー、でも詩歌がオレ達を動けるようにしてくれたんじゃないの?」
「いや、俺にはまだそこまでの力は無い。動けるってことは二人が俺と同じ能力者…、魔法使いになる素質があるってことだ」
きっぱりとした口調で言われ、二人は目を丸くする。
少し間があった後、野絵が叫んだ。
「ええええぇっ?!じゃ、じゃあ私達も魔法使いになれるってことですかっ?!月にも行けるっ?!」
「行けない…と言いたい所だが、ツッキーだけなら行けるかもな」
「や、やったー!!やったぁ!!念願の月旅行!憧れの地に遂に行ける日が…!!あぁ、生きてて良かった!!」
感極まったのか、野絵はスイッチが切れたかのようにその場に倒れ込んでしまう。
咄嗟の所で士音が支えてくれたので、頭をぶつけずに済んだが、当の本人は満面の笑みを浮かべ、口元は緩みまくりだ。
さっきまでの緊張感はすっかり皆無になっていた。
「うふ、ふふふふふ…」
(幸せの絶頂ともなると、人はこんなにも醜いものなのか…。さすがのプリンス君も引いたかな?)
 




