第三夜 天文学部、設立?! 24
何故か照れ笑いする士音に頭を抱えると、彼は大袈裟に溜め息をついた。
「はあ、折角仲間が二人も出来るかと思ったのに変なヤツばっか」
「変って…ん?仲間…?」
詩歌の言葉をオウム返しに呟いた野絵は、何か違和感を覚えた。
(仲間…、そういえば私もそんな感じのものを探していたような…?)
「あー、仲間って何?」
士音がストレートに質問し返す。
彼は余計な言葉など使わずシンプルに、的を得た事を聞くなと野絵は一人感心する。
「んー、ツッキーは確実に分かってはいたんだが、まさか君もとはな、プリンス君」
「あー、オレ?」
首を傾げる士音を満足気に見ると、彼はこちらに背を向け窓際に立つ。
「言っただろ?俺の魔法は時間を止めること。なら何故お前達は動いている?」
「え…?」
窓の外を見るよう詩歌が促すので、二人は言われた通り窓際に近づく。
晴れ渡る空の下、一見いつも通りの昼下がりに見えたが、よくよく見てみると、日常とはかけ離れた世界がそこには広がっていた。
鳥達は空中で羽を広げたまま停止し、草木は一定の風向きで動きを止めている。
この部室からは学校の裏側にある道路も見えるらしく、犬と散歩中の女性は、散歩紐を持ったまま片足を上げそのまま停止していた。
前を歩く犬も楽しそうな表情で止まっている。




