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第三夜 天文学部、設立?! 22
「そう、俺の場合は時を自由自在に操る事が出来る。時間を止める事も、巻き戻す事も可能。ただ未来にだけは行くことが出来ない」
「…すごい」
「そうだな、俺も最初は驚いた。こんな力が自分に宿るなんてな」
どこか寂しげな表情を浮かべる詩歌が気になった野絵だったが、それは本当に一瞬の事で自分の思い違いかなと自己完結する。
それにこんな力を見せつけられて、興奮しない野絵てはなかった。
「すごい!すごい、すごい、すごいですっ!!成城先輩、本当に月からの使者だったんですね!」
「だから月から離れろって!」
苦笑する詩歌に構わず、野絵の声のトーンはどんどん大きくなっていく。
「先輩!私を月に連れてって下さい!」
「はあ?」
「大丈夫、覚悟は出来ています!私、先輩に会った時から何か大きな事が起きるんじゃないかなって思ってましたから」
「はあ…」
「どうやって行くんですか?飛んでいくのかな?それとも時空をひとっ飛び?あ、息は出来るのかな?何か準備した方がいいものってあります?」
暴走する野絵は途中から敬語を使うのも忘れ、目をキラキラ輝かせながら、矢継ぎ早に言葉を繰り出す。




