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第一夜 満月の出会い 4
驚きのあまり心臓が口から出てきそうな野絵をよそに、少年は驚いた顔をしてこちらを見ている。
「お前、俺が見えるのか?!」
「えっ?」
開口一番発せられた言葉は何とも意味深な言葉だった。
「そ、そりゃあ見えます…けど」
怪訝そうな顔をする野絵にはおかまいなしに、少年は話し続ける。
「何でだ?今はクロノメーターが発動しているはず。普通の人間がいるわけが…」
「いえ、至って普通の人間ですが…」
目の前にいる彼は残念な人なのかな、と認識するが、先程からなぜかドキドキが止まらない。
「…あなたこそ、もしかして宇宙人?!」
「…は?!」
「だってだって、爆発と共に現れたし、顔やスタイルが人間離れしてるもの!」
興奮冷めやらない野絵に少年は一瞬驚いた顔をするが、すぐに笑顔になった。
「残念だが俺は人間だ。ちょっと特殊な、だけどな」
「特殊?」
言われた意味が分からず、野絵は思わずまじまじと不思議な彼を見てしまう。
すっと通った鼻先や細い顎は彫刻のように美しく、余計な肉が無い。