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第三夜 天文学部、設立?! 17
「野絵に近づかないで下さい!」
いつもの(とはいってもまだ二日しか彼の事を知らないが)穏和な士音の姿はそこにはなく、強い口調で言い放つ。
ピリリとしたムードか漂い、野絵は何も言えなくなってしまった。
「ふーん、王子様登場って訳だ」
「野絵に何かしたら許さない!」
一触即発のムードが漂い、野絵は内心焦りながら交互に二人の顔を見る。
(ど、どうしよう…何でこんな雰囲気に??)
「俺はツッキーと話してただけだけど?それにも断りがいるのかな?」
「そ、それは…」
余裕綽々の詩歌に士音は少したじろぐ。
(確かに…オレにはそんな資格ないけど…)
背後をちらっと見ると、心配そうな表情の野絵がこちらを見ていた。
先程、見知らぬ男子に野絵が連れていかれてしまった時、咄嗟の事ですぐに動けなかった。
我に返った時にはもう二人の姿は見えず、身体中が一気に冷えていくのが分かった。
心臓が何かに掴まれたかのように痛い。
嫌な汗が頬を伝う。
彼女は別にオレのことなんて何とも思ってない。
そんなの分かってる…。
彼女の事を縛りつける権利なんて自分にはない。
分かってる…だけど…!!




