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第三夜 天文学部、設立?! 13
軽やかに立ち上がると、部屋中に散らばっている服を掻き分けて、彼はイスを二つ腐海の中から取り出した。
「ツッキーも座れよ」
詩歌はイスに腰掛けると、もう一つのイスに座るよう勧めてくるので、素直にそれに従う。
「なんかすっぱい匂いがしますね」
「ああ、ここ柔道部のヤツらの部室だから」
周りを見渡すと、薄汚れた柔道着がそこら中に散在していて、異臭を放っていた。
野絵も一応女子ではあるので、思わず眉をしかめる。
「臭いだろうけど、ここが一番安全だ」
「安全?さっきの女の人と何か関係が…?」
「あいつは汚い所、だいっっっ嫌いだからここには絶対来れないんだよ」
何故か得意気に話すと、彼は天を仰ぎ、思いきり伸びをした。
「あー、ようやく一息つける。俺は自由だっ!」
「あの人、怒ってましたけどいいんですか?」
「いいんだよ、あんなの放っておけば。それよりツッキーには悪いことしたな。さっきのイケメン、彼氏?」
耳慣れしていないワードがいきなり飛び出してきたので、野絵はなんの事か分からず首を傾げる。
「?」
「だから、ツッキーの彼氏なのか?」




