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第三夜 天文学部、設立?! 9
(あの子は…、確か朝はっきり断られた子だ)
女子達の新たなターゲットにされたのは、今朝野絵が「…怖いんだけど」とキツい一言を浴びせられた子だった。
女子達の言い方だと、君島いすみというらしい。
(あんな風にはっきり言えちゃうなんて、かっこいいー!)
感心しながら、女子達に気付かれないよう野絵も教室を出る。
もっとも悪口に花が咲いていたので、野絵など眼中に無いようだった。
「君島さん、かっこ良かったね」
「あー、そうだね。お陰で助かった」
無事廊下に出ると、急ぎ足で昇降口へと向かう。
上履きを脱ぎ、靴に履き替えようとしていた時、突然バタバタと騒がしい音が聞こえてきた。
「何だろ?」
「あー、何だろね」
まだ真新しいローファーに片足を入れていた時、騒がしい音の主が、こちらへ走って来るのが見えた。
ミルクティー色のパーマの髪に引き締まった長身の体。
そして何よりも印象的な綺麗なエメラルドの瞳。
その人物に野絵は見覚えがあった。
「あ、あなたはあの時の…!!」
「よう、ツッキー!ようやく会えたな!」




