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第一夜 満月の出会い 3
最後の方の悲鳴は風に掻き消され、視界が真っ白になる。
(私、死んじゃうの…?!)
目を堅く閉じ、頭を強く押さえる。
何分そうしていたか分からない。
再び辺りに静寂が戻り、風も収まったので、野絵は恐る恐る目を開けた。
「良かった、大丈…ぶっ?!」
大丈夫だと思いたかったが、先程の爆風で望遠鏡は倒れ、残骸が辺りに散らばっていた。
「あああ…、私のお年玉貯金7年分が…」
半泣き状態で部品を拾っていると、少し離れた所に男性が倒れているのに気付いた。
「え…っ、まさか今の音の正体って…」
怖々と近づくと、長身の少年が頭から血を流して気絶していた。
「ほ…んとに宇宙人?」
ミルクティー色の髪は月の光を浴び、きらきらと輝いて見える。
くるくるに巻かれたパーマの髪、長い睫毛は頬まで影を下とし、ぴくりとも動かない。
何かの呪縛にかかったかのように、野絵はその少年に惹きつけられていた。
無意識に髪に触れようとした瞬間、男が少し身じろぎした。
「………ん」
「お、起きたっ?!」