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Lunatic gift ~蠍座の死線~  作者: 蒼森 あめ
第二章 月に叢雲 花に風
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第三夜 天文学部、設立?! 5

嬉しくてたまらない野絵は思わず彼の手を取り、思いきり上下に振る。

こうなるともう外部の声はほとんど聞こえない。



「あー、手…」

「やった、やったー!!」

「…袖ノ月さん、手、手が」

「あ、ごめんね。嬉しくてつい…」


急いで手を離すが、野絵の興奮状態はなかなか収まらない。

一人心の中で喜んでいると、彼が少し潤んだ瞳をしてこちらを見ているのに気づく。

心なしか頬も少し赤く、何だか辛そうに見えた。



(佐山君は花粉症なんだな…)


勝手な解釈をしていると、士音が何かを決心したかのように口を開いた。



「野絵」

「えっ」


いきなり呼び捨てで呼ばれ、思わずドキリとする。



「野絵って呼んでいいなら、入るよ」


静かな落ち着いた声には、有無を言わせない力強さがあった。

真摯な瞳に見つめられ、普通の子なら完全にノックアウトしてしまいそうなものだが、野絵は力なく笑い、楽しそうに頷いた。



「うん、いいよ。野絵って呼ばれるの久し振りだなぁ」

「オレの事は士音でいいから」

「うん、分かった」



二つ返事で答えてしまったが、彼の思いには全く気付かず、ただ純粋に一人目をゲット出来たことに喜んでいた。



(名前で呼ぶだけで入ってくれるなんて、佐山く…士音君っていい人だなぁ)


月以外の事には無頓着で鈍感な野絵なのであった。








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