第三夜 天文学部、設立?! 3
「え、えっと、話?オレに?」
思わず声が上ずってしまう。
昨日野絵と出会った時もそうだが、彼女と話していると胸の鼓動が早くなり、息苦しくなってしまう。
こんな感情は士音にとって、久し振りなことだった。
そんなこと全然知らない野絵は、あどけない笑顔でこちらを見ている。
「な、何…?」
「うん、あのね、佐山君って入りたい部活とか決まってる?」
「…え、部活?」
「うんうん、部活。もう決まってるかな?」
満面の笑みで言われ、脱力感が彼を襲う。
思わず扉に寄りかかり、軽くため息をつく。
(あー、何を勘違いしてるんだ、オレは…)
「おーい、佐山君?」
「あ、あー…ごめん。部活は一応軽音部に入ろうと思ってるよ」
「軽音部かぁ、佐山君音楽好きなの?」
「あー、うん。スキ」
彼独特の穏やかな雰囲気のせいだろうか、昨日より自然に話せている自分に野絵は内心驚いていた。
そもそも同級生なのだから、敬語は必要無いんだと割り切ると、とても話しやすい事に気づく。
「そっかそっか。でも大丈夫!うちの学校かけもちもOKだもんね」
「かけもち?」
思っていたことが声に出ていたらしく、野絵は笑ってごまかすと、本題に入ることにした。




