第二夜 獅子羽高校入学 14
混乱して固まっている野絵に、男性教師は哀れみの目を向ける。
「お前、天文学部に入りたかったのか?残念ながら去年で廃部になっちまったんだよ」
「ははは廃部って何でですか?!こんな素敵な部がなぜ無くなったんですか?!」
畳み掛けるように質問すると、朦朧としていた意識が戻ってきた。
「まあ、あれだよ。人数不足ってやつ。三年生が引退して二年生二人だけになっちまったから、同好会扱いになったんだよ」
「同好会…?」
「そ、それで面倒臭くなって、二人とも辞めちまったのさ」
男性教師の言葉に真っ青になると、野絵はその場に力無く崩れ落ちてしまう。
「そ、そんな…」
「可愛そうになぁ、タイミングが悪かったな」
「天文学部の為に獅子高に来たのに…、これじゃあここに来た意味が……」
市内にもあと二ヵ所天文学部のある高校はあったのだが、野絵は家から一番近い獅子羽高校を選んだ。
彼女の学力ならば他の高校も容易いのだが、やはり家から一番近いという立地と、体験入学の時に天文学部の活動に感動したのもあり、どうしても獅子高に入りたかったのだ。
ショックで呆然としている野絵が気の毒になり、教師は取り繕うように笑顔をみせる。
「ま、まあ、折角獅子高に来たんだから、そんなこと言うなよー!それに無ければお前が作ればいいんじゃないか?」




