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第一夜 満月の出会い 2
本人もそれを自覚していて、別にそれでいいと思っていた。
澄み渡る夜空の中、彼を見つけるまでは…。
(ん、あれ…?)
双眼鏡で部分食を楽しんでいた時、野絵の視界に黒い影のような物が映った。
それは左右に激しく動き、目で追うのが困難な程だ。
(なに何ナニ?宇宙人?!)
高まる胸を抑えられない野絵は、双眼鏡を下ろし一点に神経を集中させる。
(ほんとに宇宙人?!流れ星?それとも……)
目を凝らし、黒い影を見ていたのだが、一瞬にしてそれは消えてしまう。
(待って!消えないで!!)
届かないと分かっているのに満点の星空に向かって手を伸ばし、触れようとする。
どうしてだかわからない。
でも野絵はその黒い影が怖い物に思えなかった。
むしろ、その反対で――――…。
月光が反射したのか、野絵の指先がまばゆく光る。
その刹那、強い爆音が辺りに響き渡り、野絵は強風に体制を崩し倒れこんでしまう。
「きゃあぁぁっ…!!」