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第二夜 獅子羽高校入学 10
「あぁ、かっこいい、士音君!」
「ホントヤバい」
「獅子高来て良かったね、頑張って勉強した甲斐があったよ」
「ヤバいよー」
女子達の囁きが耳に入ってくる。
これから三年間、女子達に追い回される士音の姿が容易に想像できた。
(イケメンの宿命…。頑張れ、佐山君)
「獅子羽高校の生徒として自分達の言動に責任を持ち、“なりたい自分”に近づけるよう勉学や部活動に精一杯努め、夢の実現に向けて三年間を充実したものにしていく事を、ここに誓います」
士音が強く透き通った声で宣誓を言い終えると、辺りに一瞬静寂が訪れ、その後割れんばかりの拍手が体育館に鳴り響いた。
(そうだね、三年間思いきり楽しまなくちゃ!)
皆に負けない位、大きな拍手を送る野絵を士音は眩しそうな瞳で見つめていた。
壇上からなので、野絵は全く気づいていない。
(袖ノ月…野絵。ようやく…ようやくキミを見つけた!!)




