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第五夜 強襲 39
「アークトゥルスの扉!」
「献花《ショチマナロ》!!」
二人の叫び声の後、爆音が響き渡り、断末魔の悲鳴が聞こえた。
野絵は構わずに目をつむり、神経を集中させる。
(お願い…っ!どうか私に力を!二人を守る力を下さい!!)
次の瞬間、野絵の身体から閃光がほとばしり、二人は目を開けていられなくなる。
「野絵…っ?!」
「まさか…!カードも手にしてないのに覚醒したってのか?!」
驚いた表情を見せる二人とは正反対に野絵の心は落ち着いていた。
(何か…言葉が浮かび上がってくる…)
真っ暗な空間の中、穏やかな優しい光が導くように輝いている。
野絵がいつも憧れてやまない、太古の昔から変わらない光。
丸みを帯びたそのフォルムに思わず笑みが溢れる。
「コ ペ ル ニ ク ス」
落ち着いた強い口調でゆっくりいい放つと、沈黙と白の世界に辺りは包まれた。




