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第五夜 強襲 35
「私…私は…」
野絵が意を決して、両手を握り締めた時だった。
突然物凄い爆発音がし、後ろの扉や机が吹き飛び、熱風が辺りに立ち込める。
「ちっ、もう来たか…!!」
爆発の中、青いヌメヌメした物体が所々に見え、野絵と士音は言葉を失う。
次から次へと溢れ出てきて、あっという間に教室の3分の2以上埋め尽くされてしまった。
絶対絶命、まさにその言葉がぴたりと来る余儀無い状態で、詩歌は皆の前に一歩進み出る。
「二人共、後ろへ下がってろ!!」
真っ直ぐ前を見据えると、彼は腕をかがげて叫んだ。
「献花!!」
掌から巨大な淡いユリのような花が表れ、アメーバめがけて飛んでいく。
体の上に覆い被さると、すっぽりと個体を包み爆発した。
アメーバのグミのような肉片が辺りに飛び散り、卵の腐ったような異臭を放ち消滅していく。
次々に花が表れ、あっという間に敵をなぎ倒していく様を見て、二人は呆気に取られてしまう。




