第五夜 強襲 29
夜の帳に星々が爆発するのが見え、胸の奥底に言葉が沸き上がる。
「アークトゥルスの扉!」
士音が言葉を発したと同時に青白い閃光が走り、爆発音が轟く。
モンスター達は、皆眩しいようで動きを止めていたが、士音本人は全然眩しさを感じない。
おびただしい程の小さな光の塊が現れ、爆発する様を直に見た。
『グオオォオオオ…オォ…!!!!』
苦しそうにうめき声をあげると、二人を取り囲んでいた数体が音を立てて崩れ落ちていく。
青みを帯びた体が赤く発色し、地面に溶け蒸発していくのを確認すると、士音はしゃがみこんだ。
「野絵、今のうちに…っ!!」
「…う、うん!」
爆発音に驚き、しゃがみこんでしまった彼女を急いでおんぶすると士音は駆け足で、その場から逃げ出した。
昇降口へ駆け込み、一番至近距離にあった1ーBのクラスへと入る。
急いで扉を閉め、野絵を椅子に座らせると休むことなく機敏な動きを続ける。
窓の鍵をかけながらカーテンを閉め、部屋の安全を確認すると、士音は崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。
「士音君!大丈夫っ?!」
「…ははっ、ゴメン。なんか気が抜けたみたいで…カッコ悪いね」




