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第五夜 強襲 27
『瓶詰ノ天満月ガ現レタ…』
「!!」
いきなり地響きが鳴るような低い声でアメーバが話し出したので、二人は身を固くし、思わず構える。
士音は野絵を庇うように前に立ち、モンスターを睨み付けた。
「今、何て…?」
『瓶詰ノ天満月ハワレワレノモノ…。ヨコセ、瓶詰ノ天満月ヲヨコセ…!!』
士音の言葉に呼応するかのように叫ぶアメーバ。
ゆらゆらと巨体を揺らしながら、二人の元へと近付いてくる。
「瓶詰の天満月って、野絵のこと?!」
「わ…たし?」
じりじりと間合いを詰めてくるアメーバに対し、二人は後ずさりをする。
一歩、二歩と逃げ道は塞がれ、精神的にも追い詰められていく。
(コイツ、足は早くなさそうだ…。不意をついて逃げれば大丈夫なはず)
背後に目をやると、青い顔をした野絵がまだ咳き込んでいて苦しそうだった。
(野絵をおぶっていけば余裕だ。よし…!!)
士音が意を決して、動き出そうとした時だった。
目の前のアメーバの他にも、背後の駐車場、昇降口や少し離れたグラウンドの方からも数えきれない数のモンスターが沸いて出たかのように膨大な数で現れた。




