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Lunatic gift ~蠍座の死線~  作者: 蒼森 あめ
第二章 月に叢雲 花に風
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第五夜 強襲 25

「――――っ」


声にならない声をあげ、むせ返る。

手足の先が冷たくなってきて、感覚が無くなり、もう体を動かす事が出来ない。



(誰か…助け……)

「野絵っ!!」


野絵が半ば諦めかけた時、聞き覚えのある声が遠くから聞こえてきた。

もしかしたら近くからなのかもしれないが、半分意識を無くしていた野絵の耳には、やたら遠くに響く。

焦ってるような怒ってるような、この声の持ち主を野絵は知っている。

ピンチになると駆け付けてくれるこの声の主は…。



「すぐに助けるっ!!」


次の瞬間、勢い良く引っ張られ、外気の温度を肌で感じた。

肺に空気が送り込まれ、思いきり咳き込む。



「ごほっ、ごほっ…はぁ、はっ…」

「野絵、大丈夫…?!しっかり!!」


何とか顔を上げると、青い顔をした士音が覗き込むようにこちらを見ていた。

はっきりしない意識の中、助かったという事実だけは分かり、心臓がいつものように動いていることに感謝する。






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