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第五夜 強襲 23
悲鳴が途切れ、何かが砕けるような音が耳に残り、純子が絶命したのを悟る。
恐怖で固まってしまった野絵が恐る恐る目を開けると、そこにはもう人の姿を保っていない純子が血だらけになって倒れていた。
「あ…ああ、あ…純子ちゃ……う、うわあぁあああーーっ!!!!」
今度は野絵が発狂する番だった。
ほんの数分前まで自分に笑顔を向けていてくれていた純子が、今はもうぴくりとも動かない。
得体のしれないモンスターがいきなり学校に現れて、純子や他の生徒達の命を奪ってしまった。
現実を受け止められない野絵は、強いショックで呆然と立ち尽くす。
体中の血の気が一気に引いてしまったのか、指先まで氷のように冷たい。
呼吸が上手く出来ず、荒い息だけが鼓膜に響く。
そんな彼女を見逃すわけもなく、アメーバはゆっくりと野絵の背後に回った。
「純子ちゃ…な、なん…何で、何で…」
思考回路が上手く回らない野絵は、異物が自分を標的にしてることさえ気付かなかった。
涙だけが意思を持っているかのように、とめどなく溢れ出す。




