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第五夜 強襲 21
「純子ちゃん…!や、やめて!純子ちゃんを離して!!」
勇ましくも訳の分からない物体を叩きにいく野絵だったが、腕がすっぽりと中に収まってしまい、こちらの攻撃など効いていない様子だった。
攻撃と言っても、格闘技など経験が無いうえ、運動神経も悪いので、猫にも負けてしまいそうなへなちょこパンチだが。
身動きがとれなくなってしまった腕は、ひんやりと冷たく、良く見ると体中星を散りばめたような小宇宙を連想させる色をしていた。
野絵の懇願も虚しく、純子は力無くぐったりと項垂れてしまう。
「純子ちゃん!この…っ!!」
思いきり手を伸ばして救い出そうとするのだが、あと数十センチ届かない。
無我夢中で助け出そうとしていると、純子の体が上へと持ち上がり、外へと解放された。
「わ、わかってくれた……?」
自分の声が届いたのかとホッと胸を撫で下ろした時だった。
額に何か生暖かいものがかかり、恐る恐る手で拭ってみる。
「…?」




