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SIN  作者: まかり
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夢を見ながらランナウェイ

誤字脱字あったら報告おねがいします。

SIDE イエル



研究所から抱きかかえられながら私は初めて外の世界に出た、風が頬を掠めて髪を僅かに靡かせて新鮮な空気を私の元に運んでくれる。

外から見た研究所は荒廃としていてとても機能しているようには見えないが私が住んでいた所は機器も生きていた所を考えると相当大きな施設だったことが推測できる。

暫くその感慨に浸っていると上からカリウスが「もう行っていいか?」と問い掛けてきたので私はその言葉に2つの返事で返し生まれた所を後にした。

カリウスはとてつもなく脚が早かった、景色が飛ぶように変わり風がものすごい勢いで風私の体にぶつかって来る、白衣を多めに持ちだして体に巻きつけた理由がコレか。そんな事を眠気に汚染された頭で考えながら私は急速に変わる景色を楽しんでいた。


気づけば周りは見たことのない風景をしていた、黒く堅いザラザラした食感の地面に灰色の柱が黒い糸のような物を上に走らせて一定の間隔で立っており、見たことのない箱の形をした大きい建造物が立ち並んでいた。


「これは、夢かな」


カリウスが居ないこともそうだが今まで森や林、草原を駆け抜けてきて行き成りこの様な特異な風景に変わるのもおかしい、そして何よりも。


「空気がマズイ」


とても空気が淀んでいた、息をするのが億劫と思えるほどではないが好んで吸いたいと思うようなものでもなかった。

奇妙な建造物の周りを散策していると1つの建造物の前に人影が見えたので気になって近づいてみると。壮年の男女が2組と、黒い髪をストレートで肩甲骨下角当たりまで下げた12才位の少女と髪の毛を短く散髪した快活そうな恐らく同い年であろう少年が1組の男女の両脇に佇んでいた。


「いや~今回も龍二君はヴァイオリンのコンクールは素晴らしかったですねぇ!」


ヴァイオリン・・・確か楽器の類のものだったと記憶している、なるほど少年の腕の中にはよく見たら大きな金色の彫刻が抱かれていた、表彰されたのだろう。その男の子の頭を撫でながら隣に佇んでいた母親はまるで自分が褒められたかのようにハツラツとした表情で


「そうでしょう?龍二はデキる子なんです。これからも演奏会やコンクールがあればまた招待しますね」


とにこやかな笑みで返して和気あいあいとした雰囲気を作っていた・・1人の少女を覗いて。少女の腕の中には銀色の彫像が抱かれていた、けれども誰1人少女の話をするものは居なかった。少女もそれが分かり切っていた事と言わんばかりに俯いて両親の話が終わるのを待ち続けていた。話が終わったのか1組の親子と男女は幾度か短い挨拶を交わし離れていきそれに追従するように少女と少年はは歩き出した、顔を上げた時に少女の歳と不釣合いな我蘭憧の目が私にこう言っていた。


「誰か私を見て・・・。」


そこで私の意識が途切れた。



SIDE カリウス・ファン・シンセイル



腕の中の小さな存在が身動ぎをする、一度脚を止めて視線を落とすと研究所で拾った少女が魘されていた。近場にあった石の上に腰掛けゆっくりと優しく頭を撫でて「大丈夫だよ~大丈夫だからね~」と優しい言葉をかけ続けているとゆっくりと少女の瞳が開きどこか安心したようなため息を付いて


「大丈夫です、ごめんなさい。」


もう走っても大丈夫ですよと言ってきたので今度はより一層揺れに気を配りながら俺は夜を駆けた、急いだかいあってか日の光が夜の光を咲く前に自分の現在拠点としている村であるヴェネイヴ村に到着したのであった。


ヴェネイヴ村は戦争後設立された教会の庇護下によって運営されている、その為か毎朝村人は教会に赴き神にその日一日の安心を祈るのだ。

俺は別段神様という存在を信じている訳ではない、ただ郷に入れば郷に従えと言うだけの理由である。

村の決まりをイエルに教えながら朝の祈りの準備をする為に家に入る、簡素で決して大きいとは言えない一階建ての木造の家だが自分は気に入っている。部屋の机には今まで調べた魔法国に対するデータが所狭しと部屋を占領し足の踏み場がないその内掃除しないとな、と頭のなかで考えながら十字のネックレスを首にかけてイエルを床に下ろしてから二人でゆっくり教会に向かっていった。


教会の入り口には老健な雰囲気を醸し出している神父が朝の挨拶の為に顔出していた、こちらに気付いたのかこちらに顔を向けて


「おはようカリウス殿、あなたに神のご加護があらんことを・・・・そちらのお嬢さんは?」


と言ってイエルの事を問い掛けてきたので従兄弟の親戚がマギアで食われたのでその娘を引き取ってきたと説明すると神父は申し訳無さそうな顔付きになって。「不躾な質問をお許し下さい」と頭を下げてから新しく祈りを捧げる為に来た人に挨拶しに足早にその場を去っていった。クイクイと服を引っ張る感覚を感じイエルに顔を向けると少しムッとしたような申し訳無さそうな顔をしていたので頭をクシャクシャと撫でて誤魔化し、祈りを終えるために俺達は教会に入った。



読んでくれてありがとうです!!

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