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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第98話 従兄との再会

本日3話目

『やぁ、アスミにアマネ! 年越し以来だね!』


『お、ルイじゃん。お久しぶり』


『……あんたもまぁ、凄いことになってるわね』



 開会前から大騒動を起こした翌日。食堂でご飯を食べていると、見覚えのあるデカいのが声をかけてきた。そういえば従兄のルイも重量挙げで代表入りしたんだったね、本業はラガーマンなのに凄い。あ、そういえば欧米だと複数のスポーツをやるのは割と当たり前なんだっけ。


 あすみちゃんが凄い事って言ってるのはルイの周囲に居る人たちについてだ。色んな国のジャージ来てる女の子が、ルイの周りでワーキャーと姦しくしてるんだよね。女三人とか言うけど、5,6人集まったら騒がしいなんてレベルじゃないよ……



『ああ、すまない。彼女たちは昨日から僕と友達になりたいって子たちで。紳士としては女性のお誘いを無下にも出来なくてね! この二人は僕の従妹のアマネとアスミだよ!』


『うんうん、ルイは良い子だねぇ』



 本当に17歳の男子なのか疑わしいくらいに純粋な眼差しで彼女たちを見る従兄殿に、皮肉とか抜きでそう思ってしまった。周りに居る女の人たちもさっきまで僕とあすみちゃんを睨みつけてたのに、今のルイの言葉にすっごく気まずそうな表情を浮かべちゃったよ。


 空気を読まないルイは周りの気まずい雰囲気も一切ガン無視で実家周りの事を話し始めて、ガチの親戚トークだと察して周囲の人だかりもさぁっと消えていった。そうだよね。親族の目の前で口説くのはちょっと色々勇気居るよね。しかも明らかに上流階級っぽい単語が飛び出してくるんだもん。流石の選手村お祭りパワーでもそら居た堪れなくなるよ。うん。



『おじい様たちも開会式は見に来るそうだから、その日は従兄妹皆で会いに行こう! きっと喜んでくれるよ!』


『OK、ええと、何時なら空いてるかな』


『夕方からなら時間が取れそうよ。その時間に会いに行きましょうか……あら、トロ子が来たみたいね』



 人口密度が薄くなったテーブルに座って親戚トークをしていると、食堂にトロ子ちゃんとかんなちゃんが入ってきた。上海だから時差ボケってほど時間差はないんだけど、旅疲れか二人とも少し寝坊しちゃったみたいだね。


 他の先輩方は昨日の夜、上海の街に繰り出してたから多分もっと遅くなるだろうな。なんか満漢全席やったとかなんとか聞いたけどそれで良いのかアスリート……まま、開会式前だし練習で食べた分絞れば大丈夫か。



「ヘイトロ子ちゃんかんなちゃん! こっち空いてるよー」


「おはー」


「おはようございまっス! うわ、なんかデカいイケメンが居る! 略してデカメン!」


「あ、これ従兄のルイね。ルイ、こっちの二人は僕のチームメイトのトロ子ちゃんとかんなちゃん。可愛いからって手を出すなよ?』



 まぁ、ほぼ100%大丈夫だと思ってるけど一応くぎ差しは行っておく。実際に選手村に来て実感したけど、ここはあれだね。ハレとケのハレだ。


 オリンピックに出場するようなアスリートは、基本的にその人生の殆どをスポーツに費やしてきた努力家たちだ。そんな彼らにとってこのオリンピック選手村ってのは、近所でやってる大きな祭りって感じなんだろうね。しかもここに居る人はそのほぼすべてが自分と同じような道をたどってきたアスリートたち。当然話も合うし、そんな奴らばっかりならそりゃ男と女のぱぴぷぺぽが起きるってもんだろう。僕はその辺に対しても理解してるからね。


 だからこそ、そういう惚れた腫れたを経験してるだろう大人組は置いといて、中学生組は力の限り僕が守護らなきゃ。それが例え従兄だろうが容赦しないからね。シャーッ!(威嚇のポーズ)



『……………………』


「ってなんか反応ないな。どしたんルイ?』


『………………………………』


『ルイー?』



 その辺をしっかり理解させようと思っていたんだけど、何故かルイはぼぅっとした表情でテーブルに着いた二人を見ている。おっと、ここでおニューなタイプにも匹敵すると専らの噂な僕の直感が閃き音を発したよ? これはあれだね。あれがこれでこーだね?



『ヘイ、ルイ! 君もしかして』


『可憐だ…………』


『オーマイゴッド!』



 悪い予感は的中だ。こいつ、小3の頃の僕が理想とか怪しいこと言ってたけどやっぱりかんなちゃんに! 確かにかんなちゃんは若干赤茶けた髪が良く似合う日焼け肌の可愛い女の子、対象年齢が下目の紳士を自称する連中が生唾ごっくんしてしまうような極上の女の子だけど、まさか僕の従兄が……あ、でもよく考えたらルイは17歳でかんなちゃんは14歳。そこまでおかしい年の差ではないのか。い、いやしかし身長198cmのルイと160に届かないかんなちゃんじゃ見た目の犯罪臭が凄いよ! 何もしてなくても警察に呼び止められるくらいに!


 こ、ここは親族に犯罪者が生まれてしまう可能性を鑑みて、ルイには大人しく諦めてもらうのが良いかな。今の調子ならかんなちゃんはほぼ間違いなく4年後のオリンピックの時も出場してるだろうしそん時に改めて口説いてもらうって事でいこう。ヨシ!


 僕の中で最もこの場が荒れず、誰も傷つかない方法を考え付いた瞬間、ルイは動いた。その巨体からは想像もできないほどの俊敏さで席を立ち、慌てて制止しようとする僕を振り切り、仏頂面だったあすみちゃんが驚愕の表情を浮かべ、びっくり顔で固まるかんなちゃんを通り過ぎて、ルイは座ってるトロ子ちゃんの前で片膝をついて、トロ子ちゃんに右手を差し出した。



『一目で貴女に恋をしてしまいました。僕と結婚を前提にお付き合いしてください』


「……は?」



 真剣な表情でそう口にするルイに、周囲の時間がピタリと止まった。そっちかよ! ってそうじゃないそうじゃない。なにやらかしてんだこの従兄は!!?



「断るー」


「そしてこっちはバッサリだよ!!?」



 そんなルイの愛の告白を我らが鬼畜外道師匠は意にも介さずさっくりとお断りの言葉を口にする。す、すごい。こんな状況でそこまであっさり断れるなんて、パネェっす! マジリスペクト!


 でも断られたルイはなんだか嬉しそうにうんうん頷いてるんだけどあ。あれ。もしかして日本語通じてないのでは。これもうちょっと面白げふんげふん。大変なことになるかもね! 携帯を構えてパシャパシャ連射してるあすみちゃん! あとで僕にもちょうだいね!!?


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