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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第84話 ルイ・アームストロング・山田

本日4話目

「キェアアアアアアッ!」


『うわ、い、いきなりなんだ君は! あれ、その銀髪にルビーのように煌めく瞳は、もしやアマネ!? な、なんでこんなみすぼらしい体格に!!?』


『誰がみすぼらしいじゃい!』



 つい衝動的に金髪の大巨人に襲い掛かるも、ぐっと頭を押さえつけられて手をぐるぐると回す羽目になる。ちくしょう! 流石に40近く背が離れてるとリーチが半端ないな!!?



『あら、遅かったじゃないルイ』


『ミリー! すまない、ケンブリッジ大に行った先輩からの勧誘を断れなくてね!』



 ミリーの言葉に大巨人が見た目通りの大声で応える。この巨人の名前はルイ。ルイ・アームストロング・山田くんだ。アーサーくんの弟で、僕にとっても二つ年上の従兄にあたる少年だね。


 最後に会ったのは、たしか5年くらい前だったかな。その当時から年齢の割には結構デカい方だと思ってたけど、5年経った今では見上げるような大巨人に成長している。16でこの上背にこの体格か。ラグビーやってるって話だけど確かにと頷いちゃうデカさだ。



『ようやく来たなルイ』


『ルイ、お久しぶり。アーサー、勝負は一旦お預けね?』



 ルイの声が聞こえたのかあすみちゃんとアーサーがルームランナーから降りてこっちの部屋に移動してきた。山田の方の従兄姉はこれで全員集合したわけだけど、そろいもそろって180オーバーになりやがってこいつら。僕に、僕に端数の身長をくれよ……! 年齢の割に僕もデカい方なんだぞ! 本当は!


 あとルイくん。いい加減に君は僕の頭から手を放してほしいんだけどね?



『ああ、すまない。いつ暴れだすか分からなかったから……』


『人を暴れ猿みたいに言わないでくれるかな?』


『いきなり奇声をあげて襲い掛かられたんだけど』


『あ、ちょうちょ』



 権藤あまね究極奥義、都合が悪い時の話題そらしを発動! 真冬に飛んでるなんてすごいなぁ流石は神秘の国イギリスだーと虚空に目をやると、ルイは「え、どこどこ!?」と僕と一緒に空に視線を向かわせてきた。


 あ、そうだそうだ。こいつこういう奴だったわ。別に頭が悪いとかじゃなくて身内の言う事はほぼ100%真に受けちゃうんだよね。この子。


 アーサーくんが頭抱えてるのも頷けるよ。この子がブライアン伯父さんみたいにアーサーくんを支えて山田財閥を切り盛りできる未来が見えないよ。



『まぁ、おじい様もお婆様もウィリアム伯父さまも、ルイには家の仕事じゃなく外の仕事で大成してほしいと思ってるから』


『あー。ラグビーだっけ?』


『そう。16歳にしてラグビースクールのエース。同世代最高のラガーマンの呼び声も高いのよ?』



 呆れたような僕の口調に苦笑しながら、ミリーがそう応える。ラグビースクールってたしかイギリスの超名門校で、ラグビー発祥の地でも知られてる学校だよね。主な進学先がケンブリッジ大学やオックスフォード大学っていう異次元の世界だ。


 そのラグビースクールで、ルイは今年入学してすぐに頭角を現し夏にはエースの座を射止めていたらしい。止めに入った相手プレイヤー3人を引きずりながら相手ゴールまで駆け抜けた姿から人間機関車なんてあだ名も付けられたんだとか。うぅん、絵にかいたようなパワー型のスポーツマンだ。


 おじいちゃんも若いころはラグビーをやってたとかで、このルイの大活躍に大興奮! していた所に僕とあすみちゃんが世界一周なんてしたもんだから、欧州セレブ界隈での一族の評価がグーンと伸びたらしく。おかーさんの勘当解除もこれが大きかったらしいから、僕としてはルイにお礼を言っても良いんだけどさ。



『でもさぁ、言うに事欠いて女の子にゴリラみたい! スゲー! って言ったんだよコイツ!? 流石に久々の再開で襲い掛かっても僕は悪くないよね!!?』


『いやまぁ、それはルイが悪いけど。その言葉だけ切り取ると100%ルイが悪いけど』


『え!? ぼ、僕にとって最大の誉め言葉なんだけど……?』



 僕の言葉にミリーが賛同の意を示すと、雪で濡れ捲ったトレーニングウェアから着替えてきたルイがショックを受けたような顔を浮かべた。いや、普通に考えて女の子にゴリラ! って言って誉め言葉だと受け取る人がどんだけいるんかって話だよ。居るわけないじゃんそんなの!


 僕が勝ちを確信し、更に追撃の口撃を行うおうとすると、それまで白けた目で僕らをみていたあすみちゃんが口を開いた。



『小2の時、ルイに腕相撲で負けたのが気に食わないって一年かけて筋トレしまくって、次の歳の夏にルイにリベンジかました時言われた言葉よね。それ』


『おい、ばか、やめろ。なんでそんな補足事項を言うんだ』


『物事はちゃんと順を追って説明する。アリス叔母様に私はそう教わったのよ』



 僕にとっての忌まわしき記憶を、あすみちゃんは容赦なく抉り出してくる。あすみちゃんの話を聞いて、ミリーが僕に白けた目を向けてくるけども! いや、それでも、それでも女の子に言っちゃいけない言葉って、あるでしょ……?



『ほら、これがその時の写真。待ち受け用に画像データ持ってるのよ』


『キェアアアアアア!!? ナンデソレ撮ッテルナンデ!?』


『うわ……凄いわね』


『確かにこれは……ええ。俺よりも力が強そう』


『うん……やっぱり僕の理想の女性は、この時のアマネだよ!』



 更に追撃とばかりに僕がもっとも横に大きかったころの写真データを何故か保持していたあすみちゃんが、僕の頭を上から抑えながら他の3名に携帯の画面を見せると、従兄姉たちからは口々にため息にも似た畏れのような言葉が漏れ出てくる。僕の黒歴史が! たった一年間の僕の黒歴史が暴かれた! ちくしょう、こんな時に限って弱点の縦ツインドリルがない! 身内の場だからって普通のロングヘアにしやがって、ちくしょう!


 あとルイくん。流石にその、その時の僕が理想の女性ってのはちょっと倒錯しすぎじゃないかな。怒りと恥ずかしさでいっぱいだった頭の中が一気に冷静になっちゃったよ。あ、別にD専ってわけじゃなくてすっごく良い筋肉した女の子が好きなんだ……うん。


 理想の人に、出会えると良いね……?

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