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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第78話 大牟田からの来訪者

本日3話目

 うちに帰ったら自宅の前に身長180cmオーバーのガタイのいい学生服姿の男が待ち伏せをしていた。こういうとヤンキー漫画っぽくなるなぁ、とか思いながら家の前でまごまごとしている久留米さんをお店の中に案内する。あと一緒に居た久留米さんの相方さん……ええと、名前は確か森さんだっけ。


 というか久留米さん、なんで赤いバラの花束なんて持ってるんだろ。別にうちのお店は新装開店とかもやってないんだけどね。



「お、お久しぶりです。ワールドツアーでのご活躍は、連日TVでみておりました」


「ありがとうございます! あ、メニューどうぞ。なにか頼んでくれたら僕とっても嬉しいですよ」


「こっからここまでお願いしまっす!」


「ワシも、ワシはこっからここまでじゃ!」



 空いていたテーブル席に座ってメニュー表を渡すと、久留米さんと森さんは先を競うように注文をし始めた。あ、コラ。ちゃんと食べきれる範囲で注文してよね。お残しは許しまへんで?






「下見ですか、高校の」


「はい。こちらん学校からばり良か条件で呼んでもらえたけん」


「久留米。方言、方言になっとーぞ」


「あ、良いですよ。好きに喋ってもらって」



 流石にメニュー表のここからここまで! は常識的に考えて注文は通らず。というかおかーさんからちょっとお小言言われちゃったから、一先ず一番ボリューミーな超山盛りカレーチャーハンを注文してもらい、ものの5分でそれを片付けた久留米さん達と近況を話し合う。1キロくらいあったんだけどな、あのチャーハン。やっぱ体育会系の男の子はよく食べるよ。


 なんでも久留米さんと森さんは、隣町にあるそこそこ歴史の古い私立の学校を見に来たらしい。同地区の西東京のあそこが絶頂期すぎて最近はあんまり勝ち上がれてないけど、10年位前までは何度か甲子園にも行ってる学校だ。


 僕にとっても地元に近いし進学先候補の一つだけど、古豪って呼ばれてる所は設備が古かったり古いルールが面倒だったりであんまり優先順位は高くない場所なんだよね。でも、久留米さんたちをかなりの好条件で推薦で取ったって事は本気で野球部を改革する気なのかな?



「事前に聞いとった話より設備も新しゅうなっとったし、恐らくは」


「お、設備が新しいってのは良い情報ですね! どんな機材があったんですか?」


「見たこともない器具が多かったけん、憶測ですが。筋トレルームを新設してたり、マシンバッティングも真新しい機材だったりと。ほとんど入れ替えとるみたいです」



 久留米さんは一生懸命標準語をしゃべろうとして良く分からない話し方になりながらも、自分が見た光景を僕になんとか伝えようとしてくれる。聞いてる感じだとマンネリトルシニアが使ってるものとかも結構あるみたいだし、本当に設備面では凄くお金がかかってるみたいだ。


 これはもしや、本気で甲子園狙ってるかもしれないな……? 僕の進学先がどこになるかはまだ分からないけど、地元に進学した場合同地区の強豪校がまた一つ増えるかもしれないってのは中々大きな情報だ。


 もしかしたら再来年、甲子園をかけた勝負をこの目の前にいるガタイの良い九州男児二人と行う事になるかもしれない。結局久留米さんからはホームランを打ててないからね、次の対戦までちょっとだけ筋トレを多くして、雪辱を狙うってのもいいかもしれないなぁ! うんうん!






「で、なんでその子はバラの花束持ってきてたの?」


「女の子に挨拶するならそれかなって思ったらしいですよ」


「小波の時代でもそんな奴居なかった……あ、いやごめん居たかもしれないわ」


「金ちゃん監督にもそんな時代があったんですね」


「僕の話だとは言ってないけどね???」



 さて、久留米さんたちの来襲から数日後。久しぶりの北埼玉デッドボールの試合なんだが、いくつか驚いたことがある。まず一つ目は、なぜか北埼玉デッドボールの専用バスにデフォルメされた僕のキャラクターが書き込まれていたのだ!


 どういうことだ金ちゃん監督! これは僕のしょーぞーけんのしんがいだぞ! とぷんすかカメラに向かってキレ芸をしてみたのだが、やはりプロには及ばないのか金ちゃん監督は白けた表情で「君の伯父さんとこから承諾もらってます」と言ってのけた。


 おかしいな、しょーぞーけんって個人の権利だった気が。あ、でもたしか契約の際に事務所が管理するとか言ってたかもしれないぞ、と昔の記憶がよみがえってきたので先ほどの発言はなかったことにして次の問題に。何故か試合前に始まる握手会について問いただしたのだが、これも同じように「事務所から許可を貰ってます」の一言でケリがつけられることになった。


 便利すぎない? その、事務所から許可貰ってますって言葉、さ。僕がなに言っても全部はじき返されちゃうじゃん。絶対防御じゃん。



「君も芸能人の一人だからね。事務所に助けられて、事務所を助けて。支え合いが大事なんだよ、この業界は。支え合う姿を書いて人という漢字になるみたいにね」


「あれって人が人を押さえつけてるようにも見えますよね」


「シャラップ! 君のような勘のいいガキはね、すぐ干されるんだよこの業界! 厳しいんだから」


HAHAHAHAHA!



 いつものような金ちゃん監督とのやり取りだが、実はいつもと違う点がここにもある。なんと今ガヤ笑いをしている人たちのなかに結構な数の外国人が居るのだ。


 事の発端はつい先日のワールドツアーになるというか、日本女子代表の知名度が上がる時、なぜか北埼玉デッドボールも一緒に知名度が上がるという珍現象が起きていたのが原因だ。ニュースなどで大きく話題になった今回のワールドツアーはそのほとんどの試合をネット配信で見ることが出来る。だからほとんどの海外の人たちはネット配信で日本女子代表の試合を見ていたのだが、その際に何故かおすすめされた動画に北埼玉デッドボールの試合があるのだという。まぁ、ほとんど内容変わんないからね。


 これを見て海外のコメディアンとかお笑い好きな人たちが北埼玉デッドボールというエンタメ球団の存在に気が付いてしまい、バイタリティーの凄い奴らが日本に渡ってきて北埼玉デッドボールへの参加を求めてきたのがこのガヤ笑外人たちというわけだね。



「わざわざ日本まで来てくれたんだから、ちょっとはファンサしないとね」


「あ、流石に参加は認めないんだ」


「うち、入団テスト受けて合格しないとダメだからね」



 カメラに声が入らないようにちょっと小声で金ちゃん監督とその辺りの会話を行っておく。うん、ファンサは大事だけど無制限に、てのは困るからね。あくまでも彼らは今回の試合にゲスト出演したというだけでTVに出れたんだから満足して帰ってくれよって事らしい。


 それなら僕も安心だ。流石に野球のやの字も知らない人が入ってきたら入団テストで落ちた人たちに悪いなんてもんじゃないからね。金ちゃん監督が冷静に判断してくれてて助かったよ。


 あ、握手? OKOK。英語なら出来るよ? あ、サイン? 手形が欲しいって僕力士じゃないんだけどなぁ。なんなら試合終わったらチームでうちの店に来る? お安くたくさん食べられるよ!


 あ、ただしブーさんは出禁ね。うちのおかーさんに色目使う人は出禁ってルールがうちの店にあるから(憤怒)

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