第49話 リアルな野球盤 3回目
本日4話目
リアルな野球盤ゲームへの参加は3回目になるけど、毎回毎回変化を加えてくるのは流石の一言だね。今年はなんか僕のマキュウチャレンジ以外にも新要素が加わったみたいだ。前回前々回と視聴率の伸びが凄いから予算が潤沢ってのもあると思うけど、使用する機材も最新鋭のものを借りてきてるし前回に引き続き東京ドームを1日借り切っての撮影なんて何億円かかるのかってレベルだ。
それをペイできるだけの人気がこの番組にはあるって事なんだろうね。呼んでくる面子も豪華の一言で、なんとメジャーで活躍してるイッツこと田中逸郎さんを今回はゲストで呼んでいるのは驚きだ。僕、サイン貰っちゃったよ。
「君のニュースはアメリカでもよく流れてたよ。世界大会の第3戦は色んなテレビ局が何回も放送して話題になってる」
「ッス! キョーシュクでっス!」
サインを貰いに行く際にこんな言葉もかけてもらった。どうやら米国での僕の評価が魔球を投げるコメディアンから野球選手に格上げしたみたいだね。まぁね? 僕は米国が誇る最強女子投手をトップから引きずり下ろした新たな世界最強投手だし? 当然っちゃ当然だよね。ふんすふんす。
さて、もう完全にレギュラー扱いになった僕は今回も縦横無尽な活躍をお茶の間にお届けするよ。まずは前回の放送で懇ろになったスイーツを出す喫茶店のパフェを食べながら、実況の亀沢さんとタッグを組んで野球盤勝負をしている様子のリアルタイム実況中継の撮影だ。
バックネット裏に置かれた特設専用ブースのマイクであることないこと言って参加者のヘイトを稼ぎ、バッター自らに「魔球こい、魔球!」を言わせるのが今回の僕のお仕事だ。
「おおっと亀田選手、当たりは良かったがフェアグラウンド上なにもない所でボールが止まってしまった! これはアウトとなります」
「球の見極めが一瞬狂ってましたね。うっわこのパフェあんまぁい! 舌触りも良いしやっぱり東京ドームスイーツは〇〇がオススメですねぇ! あ、亀田選手お疲れ様です」
「うーん、パフェの講評と同じくらいの熱量で解説をお願いしたい!」
「えー。でも失敗したスイングを講評するのってやっぱり失礼だと思うんですよね。自分自身が一番分かってるから触れてあげないのがやさしさだって僕、思います」
「テメーゴンドー! 次の打席俺と勝負しろ勝負!」
「勝負予約ありがとうございます!」
試合中はだいたいこんな感じなんだけど、カメラがない所でこっそりとタツ・スズキさんに「マジで前回と比べても煽り方がどんどん良くなってる。本格的に弟子入りしない?」って声かけられて困惑しちゃった。そういうカテゴライズだと、たぶん僕の師匠は金ちゃん監督になるんだよねぇ。金ちゃん監督の御弟子さんとかにはナチュラルに一門扱いされてるし。僕野球選手なんだけどね???
そしてメジャーリーガーのイッツさんはね。やっぱ凄いよ。全打席ほんとうに僕と勝負を選んできた。まあキャッチャーの体力的な問題で1打席に1球が限度だから、魔球を投げるカウントを整えなきゃいけなくて第一打席はそこで打たれるって珍事は発生したけどね。あの、この番組的に魔球投げる前に打って良いのかっていう。あ、いえ全然良いんですけどね。
しょうがないから第二打席からは水鳥先生命名の飛球シリーズを解禁。下手投げからホップするような軌道を描くこのシリーズには流石のイッツも初見では手も足も出ず、しっかりと魔球にまでこぎつけることができた。
1打席分貯めたからかガチャで出てきた魔球も中々に面白いものだった。投げられた瞬間からボールの後部からロケットのような噴射を行い、バッターボックス前でいきなり急加速。キャッチしたブーさんごとバックネットまでぶっ飛び、推進力が消えるまでバックネットにブーさんをぐりぐりと押し込んでいった。
【魔球ロケット! 投じられたエネルギー×噴射エネルギーでパワーアップして相手は死ぬ!】
――おお。ブーさんもう起き上がってキレ芸してる。さすがは魔球リアクション芸人の第一人者だね。すごいプロ意識と根性だ。
この大惨事みたいな状況なのにやる気満々で次の打席も魔球を要求してくるイッツさん。脱帽です。あんな魔球に挑むなんて僕出来ないよ……だから普通にボールを打つね、と今回からの新要素、代打ゴンドーで芸人さんチームの代打として僕はマシン相手にバッティングをすることになった。
これはタツさんが世界大会の僕の打席を見て、これなら自分以外の芸人バッターよりもよっぽど打撃で使えるんじゃ? と思ったのが一因らしい。更に僕が打ってそれがヒットになったらノーヒットの人を弄る理由付けにもなるしね。弄る理由が増えるのは大歓迎って事なので、僕も気合を入れてぐわら! ガキィン! とガンガン代打でも活躍するよ!
もっともこの番組の形式上あんまりホームラン連発してもどっちらけになっちゃうから、今回の打法はねじ巻き打法じゃなくどこでも打法でヒット量産を狙っていく。あすみちゃん曰く「どこに投げてもバットを合わせられる幻影が見える」ともっぱら評判のどこでも打法なら、ちまちました当たりを量産してノーヒットの人を弄るネタになるからね!
そうやって撮影されたリアルな野球盤ゲームは、少なくとも撮影現場は中々に好評な感じで終わったし、試合後にプロ選手の皆さんにはアームロックとか色々されたけど試合中のご無礼は笑って許してもらえた。ただ、イッツさんだけは魔球を前に飛ばせなかったって事をすっごく悔しがってたなぁ。去年は星選手が物理的にいけそうな魔球を前に弾き返してたから、その事も含めてすっごく悔しそうだった。
今年の年末にその星選手に誘われて北海道の若手さんたちの合同自主練に参加するって言ったらイッツさんどういう反応するか気になるな。ちょっと試しに言ってみようかな?




