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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第38話 女子野球世界大会開幕

本日3話目

 世界大会の開会式は予想していたよりもずっと地味な式典だった。参加チームで考えても10カ国もないからしょうがないんだけどね。ただ、参加国家数は前回の国際交流戦と同じくらいの数だけど参加してきてるメンバーは全然違う。アメリカ・カナダ・オーストラリアといった古くから野球がある国は女子も強い傾向にある。国際交流戦は台湾と韓国さえ気を付けていればって感じだけど、今回は苦戦を免れない相手が3チームも追加されてるんだよね。


 まぁ、この全部のチームに勝ってこその世界王者だ。女子の身で甲子園大会に出場を狙うとなればそれくらいの実績があってこそだろう。むぅん、やる気満々で頑張って行こうじゃないの!


 開会式が終わったらその日は試合などはなし。勝負は明日からという事でその日は解散! お偉いさんたちはこれから催し物とか宴会とかがあるのかもしれないけど参加選手たちは明日に備えて休む――という名目の台湾観光が許可されたのだ!


 あ、ちなみに一人歩きは絶対にするなってお達しとお出かけする人は協会側からスタッフが同行するようになってるみたい。僕はブライアン伯父さんが気を利かせてくれたのかなんと! ボディーガードなるものが同行しているのだ。まぁ僕美少女だし? 台湾の怖い狼さんとかがほっとかないだろうからね。柔道の心得はあるとはいえボディーをガードしてくれる人がいるのは心強い限りだ。


 さらにちなみにあすみちゃんにも同じようにボディーガードがついてて、だから僕とあすみちゃんは二手に分かれて先輩たちの買い物に付き合う予定になってたりする。先輩方も異国の地でうろつくのはやっぱり怖いんだけど、それ以上に観光してみたいって欲はあるんだろうね。


 だから僕はこの後けっこう忙しい予定なんだけど、ここでトラブルが発生した。


 僕たち日本代表は、いま。ヤンキー女の群れに囲まれているのだ。つまり、アメリカ代表って事だね!



「オー! ニンジャガール!」


「マキュウプリーズ!」


「オーマイゴッド!」



 だいたいこんな感じのノリで開会式が終わった瞬間に話しかけてきて、他の日本人選手と話してるのもお構いなしにガンガン前のめりに話しかけてくる。そして日本代表選手とはいえ奥ゆかしい日本人はこういうガンガンくる外国人が苦手だから、英語が出来るあすみちゃんとリリーナさん、それにトロ子ちゃん以外の先輩方はそそくさとホテルに向かっていってしまった。あ、いや。一色キャプテンは向こうのキャプテンとバチバチにガン飛ばしあってるから例外か。前回負けた時と同じキャプテンさんみたいだから色々あるんだろうなぁ。



『ところでなんで僕の事しってるの?』


『あら、貴方英語出来るの? えっとねぇ、私たち貴方の大ファンなのよ! アメリカで貴女のマキュウチャレンジが流行ってるもの!』


『相方のブーはどこ? 彼ってとっても素敵なコメディアンよね。サインが欲しいんだけど』


『コメディアンなのに世界大会にまでくるなんて熱心なのねぇ』



 女三人寄れば姦しいとかいうけど、こいつらヤンキーどもはそんなレベルじゃないね。マシンガンみたいに次から次に話題が飛んでくるから対応が一苦労というか、おいこら僕をナチュラルにコメディアン扱いしてないかこいつら。ちなみに僕は英語圏生まれのおかーさんから英語を習ってるから、会話位は問題ないんだよね。あすみちゃんもだけど。


 僕は正式な選手として呼ばれてると主張してもこいつらは笑って頭を撫でてくるだけである。というかアメリカ代表のメンバー、全員あすみちゃん並に背がデカいのばっかだな。中にはトロ子ちゃんみたいなガタイの良い選手も居るし、やっぱりハンバーガーばっか食ってる奴らはでっかく育つんだろうか。僕も週1でハンバーガー食べようかな。



『あら、でもうちにも貴方と同じくらいの身長の子も居るわよ。年齢も同い年だったわよね、ナタリー』


『そうよ。今年で13歳だもの。体はちっちゃいけどすっごく打てるし、なにより頭が良いわよぉ。監督も一目置いてるくらいで作戦なんかもあの子が考えてるの。それにとってもキュート! 身内びいきが入ってるかもだけど貴女にだって負けてないんだから』


『ほへー。凄い子が居るんだねぇ』



 折角だから一緒に観光しましょ! と勝手に僕らの買い物についてきたアメリカ代表のナタリーは本当におしゃべりな子で、僕が話そうが話すまいがどんどん壊れた蛇口みたいに話題が飛び出てくる。なので適当に相槌を打っていたらポロっとよさげな情報がいくつか零れ落ちてきた。


 なんか、僕の同世代ってやたらととんがった性能の子が多い気がするね。身近な所だとあすみちゃんにケーちゃんコーちゃん、それに網走くんだってこのまま育てば間違いなく球界の至宝と呼ばれるスペックだしね。


 まぁ、アメリカ代表の話を聞く限り、どうやら僕は完全にコメディアン扱いみたいだし日本側の情報操作はかなり効果を発揮してるみたい、かな。ナタリーとかこの場に居る子たちがそこまで詳しくないだけかもしれないけど。






 さて、台湾観光はアメリカ代表という下手な男よりも背丈もガタイも良い連中が天然のボディーガードになって満喫できた。タピオカミルクティー、良いね……これ。アメリカ代表と一緒にタピオカミルクティーを飲んだり、ナタリーの爆裂的なお山にタピオカミルクティーを乗せて飲むとか馬鹿なチャレンジを写真で撮ったから、これは日本の広報活動に役立たせてもらうとして(ゲス顔)。


 次の日。最初の対戦相手はカナダで、今日の先発は軟投派の佐竹さんだ。カナダはアメリカと同じくパワーベースボールが主流だからね。速球派の真中パイセンは相性が悪いかも、という事で佐竹さんにお鉢が回ってきたわけだね。



「あー。僕らは昨日、アメリカ代表から頑張って情報を引き出したのになー! 先輩方はホテルで悠々自適のティータイムだなんてなー!」


「ごめんて。そろそろ許してクレメンス……」



 今日の僕は1番センターでの出場。僕の名前がスコアボードに表示されたらなぜか会場からどよめき声が上がったんだけどどういうことなんだろうね。もしかして僕の美少女っぷりが前回の大会で広まったのかな……? ふふっ、怖いよね、自分自身が。キリッ


 ところでクレメンスって誰なんだろ。佐竹さんは時々こういう良く分からない言葉を使ってくるから解読できないで困ったりするんだよねぇ。



「なんか台湾でもあまちゃんのマキュウチャレンジは人気番組みたいよ?」


「番組にするほどの尺はないはずなんですがね???」



 などとくだらない会話をかわしながら試合は始まった。佐竹さんは前回の交流戦で感覚をつかんだのか、台湾の球場でもいつも通りの投球術でたまに大きいのを飛ばされそうになりながらもしっかりと相手打線を抑えて1回表は終了。さて、ピッチャーが良いピッチングをしたならばしっかり援護するのが野手としての務めだね!


 相手のピッチャーさんはなんというか、もう分かりやすくストロングスタイルだ。荒れ球っていうんだろうかね、130km/h近い速球をバンバンストライクゾーンに放り込んでくるみたいな。力対力。正直大好物ですごっつぁん!


「というわけでぐわら!」


 ガキィン、と良い音を立てて打球は外野の頭を越え、フェンス直撃。ちょっと角度が足りなかったみたいだね、反省反省と2塁に走り込みセーフ。2塁に立ってるカナダの選手から『コメディアンのあまちゃんよね? 野球できるの!?』と驚いたように聞かれた時はね、最高の気分だったよ。やっぱり結果を出して黙らせるのが一番気持ちいいよね!


 2番打者は無難に僕を送ってクリーンナップに繋げると、クリーンナップは無難にスクイズ……は選択せずにガンガン振っていき、3番がヒットで1点、4番はフライアウトになるけど3番が塁に進み、5番がタイムリーを放って更に1点追加と綺麗に打線が仕事を果たし日本代表は初回から2点のリードを手にする。


 結果として日本代表は5-2で強敵カナダ相手にきっちり勝ち切り、僕個人も4打席で3安打1本塁打1四球とバッチリの成績で1戦目を終えることが出来た。流石に4打席目はもう勝負してくれなかったんだよね。相手のオラオラ系先発も6回で降板しちゃってたし。


 さて、明日の相手は交流戦でも対戦した台湾。明日の先発は真中パイセンになるから、きっちり援護してあげないとね!

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