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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第32話 海外遠征

本日2話目

 祝! 権藤あまね・山田シャーロットあすみ日本代表! 海外遠征! と書かれた垂れ幕がうちの学校の校舎にぶら下がっていた。いや祝! じゃないんだよね。こっちは巨神カップの準備で忙しいのに1週間も台湾まで行かなきゃいけないんだから!



「台湾土産期待してるっスよあまネキ」


「台湾のお土産ってどういうものがあるんだろ。北京ダックとか?」


「北京は中国の方っスよ」



 呆れ顔のケーちゃんに間違いを指摘されたけど、しょうがないじゃん。台湾なんて行った事ないんだから。あ、前世だとたしかタピオカミルクティーとかが有名なんだっけ? でもそれどう考えてもお土産って感じじゃないんだよなぁ。


 今回の海外遠征はアジア区域で女子野球代表チームでの交流戦というか小規模な大会に出場するためのものだ。来月末に行われる世界大会に向けて国外遠征の経験を積むための予行演習みたいなものだね。会場も同じ場所だし。


 日本に台湾、あと今回の世界大会には出場しないけど韓国とかの野球がそこそこ流行してる国から女子野球選手を集めての交流戦になるから、参加国の数に関しては本番の世界大会と同じくらいの数になるかもしれないらしい。まぁ世界大会の方も10カ国超えてないからね。男子と違って女子野球は、ナショナルチームを出せるって国自体が少ないんだよね。出せはするけど素人同然のメンバーも居るって国もあるし。


 なので国際交流戦と言ってもちゃんと試合として成立しそうなのは世界大会参加国である台湾とプロ野球がある韓国くらいかなぁ。それでも女子野球って分野だと日本は頭一つ抜けてるから、油断しなければ勝てる筈。


 だから僕はいらないよね。巨神カップで忙しいから今回不参加って事で……



「遠征経験を積むための交流戦ですから。あと君が居ないとホテルのグレードが2つくらい下がるんで来てください」


「ゴンドー! 絶対に来い! 絶対だぞ! 私はもうネズミが出るようなホテルで寝たくないんだよ!」



 ワンチャンあるかもと思って直談判したら真久部監督にはすげなく却下され、キャプテンの一色さんからは行かないなんて言ったらなにされるか分からない熱意を感じたため不参加は断念。というかコレ夏休み前なんだけど学業的にどうなの、と思ったら学校側からはたくさん宿題出すからそれでオーケーというお返事が返ってきた。


 というかもう垂れ幕の段階で学校側が舞い上がってるのは見て取れるから、いくらでも便宜を図ってくれそうではあるんだよね。日本代表って単語が嬉しいんだろうね。全校朝会のお話で毎回日本代表って単語が入る様になってきたし。






 さて、夏休みまであと1週間といった所で僕とあすみちゃん、それにトロ子ちゃんの中坊3人衆は飛行機に乗って台湾へとやってきた。大学生組や社会人組はもう現地入りしているため、高校生組と中坊組の計6人が遅れて合流という形だ。


 高校生組には日本女子最速って言われてる人と選考セレクションで僕が驚かせちゃったメガネの子がいる。あと一人は多分ラテン系の血が混ざってるのかなって外見の大きな子がいて、中々に個性豊かな面々だ。



「いやぁ。銀髪でどう見ても欧州系なアンタと金髪縦ロールにはキャラ負けするわ。ね、メガネちゃん」


「メガネで個性をひとくくりにされるのは嫌なんだけど……」



 ラテン系の大きな子が見た目通りの陽気な感じみたいだね。メガネの子は、控えめな話し方だけどしっかりと自己主張は出来る子みたい。まぁ代表に選ばれるような選手が自己主張しないわけはないから当たり前か。ラテン系の子は田沼リリーナちゃん。ポジションはショートの高校2年生で、お母さんがポルトガル人らしい。幼少期までアメリカに住んでて野球はその頃からやっているという野球エリートさんである。


 対するメガネちゃんは結れんこちゃん。高校3年生で日本女子最速さんとバッテリーを組んでるキャッチャーさんだ。メガネを付けたキャッチャーは強いという僕の持論によればこの人は良いキャッチャーだと思われる。まぁ日本最速さんのネームバリューが大きくてあまり目立って無さそうだったけど、良いピッチャーの陰に良いキャッチャーが居るのは常識なんだよね。


 というかリリーナちゃん凄いな。先輩にたいしてメガネちゃん呼びは体育会系としてどうなんだ。もっとこう「メガネパイセンマジリスペクト!」みたいなノリで行かないと怒られるもんじゃないのか?



「それはそれでなんかバカにされてる気がするんだけど」


「おい、れんこ。いつまでくっちゃべってるんだ。さっさとチームに合流するぞ!」



 雑談交じりの歓談を交わしていると、女子日本最速さんが重そうな荷物を抱えて手荷物検査場から出てきた。日本最速さん、もとい真中ゆうさんはれんこさんと同じ学校の3年生で去年の全国大会を制覇したチームのエースだ。今年はおもいきり日程が世界大会と被るせいで全国大会には出れないけど、日本代表として世界を相手に戦える事にやる気満々。


 常日頃からこんな感じでれんこさんを引っ張ってるみたいで、まさにチームの王様って感じの人だね。



「山田ァ! 今大会じゃ背番号1は譲らないからな!」


「ゆう先輩。代表はエース=1番じゃないですから……」



 あと同じく最速候補に挙げられるあすみちゃんにすっごくライバル心をむき出しにしてて、すごく面白い絡み方をしてるから目が離せない人でもある。何かにつけて勝負をあすみちゃんに挑むんだけどその勝負が牛乳飲み比べとかランニングの距離勝負とかなんだよね。投球に関してはマウンドで示すからその他の部分でって事らしいけどなんで飲み比べを挑まれたあすみちゃんも可哀想で面白かったよ!(ゲス顔)


 あすみちゃんと真中パイセン、5歳も歳の差あるのに真中パイセンは真剣にあすみちゃんをライバルとして見てるのも高評価なんだよねぇ。


 ところで僕というあすみちゃんよりも高評価な世代ナンバーワン投手はライバルじゃないんですかね。僕、わりとウェルカムに挑戦を受け付けてるんだけど真中パイセンから勝負を仕掛けられたことがないのは何故なんだろうか。不動のセンターだから仕方ないって?


 へ、ヘイトスピーチ……

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