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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第29話 つまり負けだよ! 予選負け!!

本日4話目

 ケーちゃんとコーちゃん率いるハラキリトルが全国大会で優勝した。いやぁ、まぁね。去年の段階でケーちゃんをまともに打てるバッターなんてほとんどいなかったから知ってたけど、今年はそれこそ雑賀の三くんくらいしか相手にならなかったみたいだね。


 中学生になったケーちゃんのMAXは130km/h。同世代ではぶっちぎりとまではいかないけどトップレベルの出力で、更に更にケーちゃんの場合球質がすっごいんだ。体感で5km/hは速く見えるんだよねぇ。これぞ剛球って球がビシバシコースをついてくるから直球だけでも無双できちゃうんだよね。


 球速って闇雲に速い球を投げられれば良いって訳でもないから、ケーちゃんはこれから体の成長に合わせて頑丈な肉体を築いていくのが重要だ。前に僕の魔球を見に来て発狂した教授さんが季節のお便りをくれるようになったから、お返事の時に最先端のトレーニング方法とかを聞いてみようかなぁ。前世の僕は野球を離れてからはあんまりその辺の情報を触らないようにしてたから、トレーニング方法とかはあまり知らないんだよね。


 それに相方のコーちゃんだ。コーちゃんはライバルであるトロ子ちゃんの活躍に触発されたのか、最近は成長著しいんだよね。元々相手バッターの心理を読んだ配球は出来てたんだけど、最近はそれにトロ子ちゃんみたいな悪辣さが混ざってきてるというか。


 トロ子ちゃん、ささやきもそうだけど相手が一番嫌がる事を平然とやってのけたり、あえて相手の思惑に乗って誘導して罠にハメるとかバンバンやるからね。コーちゃんはその辺お行儀が良すぎるんだよねぇ。もっとエグくても良いんだよ、反則でも犯罪でもないんだから。


 そしてそして肝心のハラキリトルシニアの方だけど、春季大会は残念なことにマンネリトルシニアに負けて関東大会にはいけなかった。いやぁ、まぁね。先輩方も頑張ったんだけども選抜に選ばれたエースとキャッチャーが両方揃ったマンネリトルシニアはやっぱり強かったよねぇ。ただ、そのマンネリトルシニアも関東大会で雑賀兄弟がいるチームに負けちゃったみたいだけどさ。やっぱ雑賀一さん、化け物だよ。再来年くらい一年生エースとして甲子園に出ても全然驚かないよ僕。



「ほー。で、あまちゃんは春季大会じゃ投げなかったんだ?」


「僕の球を捕ってくれる人がまだリトルだからね……」



 もちろん僕も大会には参加したし、打率8割を維持するくらいに絶好調だったんだけどね。投手としては相変わらず対外試合禁止令が続いてるから僕としてはぐぬぬって所なんだけど、まぁ選抜大会の件って言われると僕も強く出れないんだ。ただ、そうなるとどうしてもネックなのが投手力で、強い所と当たるとどうしても投手の先輩方が踏ん張り切れなくて押し切られちゃうんだ。同期の諸星君も登板してたけど、諸星君はピンチに弱い所があるからリリーフとしてマウンドに上げるのはあんまり向いてないんだよねぇ。


 次の大会からはケーちゃんもリトルシニアに上がってくるし、これでもうちょっと諸星君が成長して先発としてマウンドに立てるようになればチームの投手事情も解決するんだけどね。その時はコーちゃんが来るから僕もピッチャーに復帰できるし。


 僕の当初の思惑としては次の夏季大会で結果を出して、夏季大会で上位に行って日本選手権に出場を狙ってるんだ。ケーちゃんコーちゃんに魔球がある程度計算できるようになってきたからここらでババーンと投手・権藤あまねを解禁すれば、関東地区上位に行くことはそれほど難しいことではないからね。ふんすふんす。



「日本代表になったからって調子に乗るな中学1年生。あ、日本代表のユニフォームで今度記念撮影しないか? 他の皆は北埼玉デッドボールのユニで」


「一人だけ仲間外れ感すごいよ僕!? あれ、僕ってもしかしてイジメられてる……?」


「お前が俺たち芸人をイジメてるんだろうが」



 カメラを回しながらさも雑談をしているような風を醸し出しつつうちのチームには日本代表が居るんだよというアピール。更に更に自分たちは虐げられているという自虐まで噛ませて笑いに持っていくのは流石の一言だ。ブーさん、熟練のげいのーじんムーブだね!






 さて。久しぶりの北埼玉デッドボールの試合では以前の仕返しにお茶の間には見せられないようなブーさんの痴態を魔球で創り出したり、相手チームとのサイン会や握手会をこなしつつもポイントを稼いでいき、夏季大会への準備は万全。


 僕たちの戦いはここからだ、と気合満点な状態で夏季大会へと参戦し――そしてほとんど出番なしのまま僕らの夏季大会は終わりを告げた。


 つまり負けだよ! 予選負け!! チクショーメ!!


 いや、出番なしは語弊があるね。僕はセンターとして毎試合出場してたし、ケーちゃんも試合が崩れた時にマウンドにたつことになった。5回から7回までを6連続三振で〆てたから間違いなくこの試合で一番いいピッチングをしたと言っても良いだろう。


 じゃあ、何故うちのハラキリトルシニアが割とあっさり敗退したのかというと。まず一つ目が先輩たちの調子がガッタガタになっちゃったこと。これに関しては、正直申し訳ないとしか言えないんだけど何故かうちの試合だけローカルテレビで収録されるという珍事が起きてたんだよね。な、なんでだろうなぁ(目そらし)


 エースの先輩と正捕手の先輩は春の選抜大会で経験してたからそこまで崩れてなかったんだけど、他の先輩方はもう酷い状況だった。流石にテレビ慣れしてる中学生なんてそうそう居るわけもないからね。結果としていきなりテレビカメラを向けられた先輩たちは相手チームも含めて調子はガタガタ。毎試合バカ試合になっちゃったというね。


 そしてテレビカメラに慣れてない状況でバカ試合を演じたせいで、それが結構な範囲で見られたっていうのが余計に先輩たちを落ち込ませちゃったんだ。甲子園とかで大きいミスをしたら一生引きずるって言うけど、今回のコレはそれのミニマム版だと言っても良い。いい経験ではあるけど、実際にやらかしちゃった先輩たちがそれをいい経験って言えるまでには流石に大会期間中だと短すぎたよね。



「すんませんっス」


「お前が悪いんじゃない。俺らが平常心を忘れちゃっただけだろ……気にすんなよ」



 エース先輩はそう言ってくれたけど、やっぱり申し訳ない気持ちが大きい。今回がハラキリトルシニアでの最後の大会になる人だって大勢いたのに、明らかに僕がばら撒いたデバフで本来の力を出し切れずに敗退したんだから。それに強い高校に進学する上でもこの夏の大会はかなり重要だったから、余計にね……


 なにかしら出来ることがないかな。ちょっと考えてみよう。


 そしてこれが最後にして個人的に一番大きな理由だけど。ハラキリトルシニアの監督は基本的にハラキリトルと一緒で育成を重点的に考える人で、体がまだまだ小さい小学生上がりの選手を試合ではあんまり使ってくれないんだ。ケーちゃんは最近どんどん身長が大きくなり始めたっていうけどまだ僕と数センチしか変わらない大きさだし、双子のコーちゃんも同じ。多分1年後には僕よりずっと大きくなると思うけど、まだまだ子供って感じの体格をしてる。


 そりゃあ、そんな体で130km/h出しちゃう子だから監督も慎重に育てようとするよね。普通はもっと大きな体格の子でも13歳で130は出せないから、明らかに出力過多だって見られてるもん。速い球を投げられるってのは決して良い事だけじゃない。有望な子供が自分の力に耐えられず体を壊していくなんて、よくある事例なんだ。


 まぁ、最後に経験を積ませるって意味でケーちゃんを出してくれた辺り決して融通が利かないって感じじゃないけどね。あとこれは僕の問題だけどチームの対外試合禁止とは別に大会運営側から魔球禁止令が出てるんだよね。これでどうしても投手のコマが足りなくてマウンドにって状況も完全に封じられちゃったことになる。魔球は投げちゃだめだけどマウンドに立っても良いっていうすっごく譲歩した形だけどコレ、実質登板禁止を言い渡されたのと変わらないんだよね。


 まぁどう考えても選抜大会でのエタフォ事件が尾を引いてる。あれは仕方なかったとはいえ、こうなってくると本格的にリトルシニアで試合に出るのが難しくなってくるんだよなぁ。登板機会、どうにかして増やせないかな?

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