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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第28話 「ガッツー!」「イッパーツ!」

本日3話目

 日本代表入りが決定した後も僕の日常は変わらない――という訳にはいかなかった。



「ガッツー!」


「イッパーツ!」



 崖のぼりをする僕に日本女子代表キャプテンの一色操さん(28)が手を差し伸べ、最後に山の上でドリンクを一気飲み! くぅ~、キンキンに冷えてやがるぜぇ! と飲み干したら撮影終了後になぜか一杯ドリンクを貰えた。これがスポンサードって奴か。ふふっ、大金持ちになってしまったかも。


 このように今まで断っていたCMとか野球以外の仕事が結構入ってくるようになったんだよね。日本代表のスポンサーになってくれてる企業相手だから断れないし、このCMに出ると目に見えて機材のグレードが上がって行くんだ。そりゃあ、ね。僕も主義主張を曲げるのもやぶさかじゃないっていうか。


 それと、北埼玉デッドボールの方でもちょっと忙しくなってる所だった。というのも、なんと! 巷で大人気な野球ゲーム、実録!グレートプロ野球の新作に北埼玉デッドボールが登場することになったのだ!


 このゲームではシナリオに合わせてキャラクターを成長させて自分流の選手を育成するストーリーモードがあり、そのストーリーが今作は社会人野球を題材にしているのだ。そしてなんと北埼玉デッドボールはこのストーリーのラスボスとして登場するんだって!


 このために各選手のバッティングフォームやピッチングフォームなんかを機械で取り込む作業があったんだけど、まぁ、うん。僕、両投げ両打でピッチングフォームの上横下手と6種類あるし魔球もあるからね。これをどうやって再現するかがすっごく大変だったみたい。


 最終的に今回からスイッチピッチャーという概念がシステムに入って、両投げを育成する機能も実装。更に更にストーリーによっては魔球を投げることも出来るようになるんだ!


 流石に完全再現は出来なかったけど、魔球サンダーイナズマボールと魔球ストップ&ゴー、魔球分身ナックルのどれかがランダムに投げられる魔球ギャンブルナックルとして実装され、更にリアルリスペクト? としてサンダーイナズマボールを引いたら退場するという謎システムになったみたい。


 せっかく育成した選手がいきなり退場するかもしれないのはリスキーすぎると思うんだけど、絶対にこの方が面白いって言われたからゲーム屋さんの考える事はわっかんないなぁって思いながらも了承。そしてこれだけ苦労させられたからなのか、ブーさんとか他のチームメイトは最終戦しか出番がないのに僕だけストーリーモード中にも出てきたり勝負したりするシナリオがあるみたい。


 まぁ、僕としては面白いものを作ってください以上には言えないからね。年末に出るっていうから発売を楽しみにしとこうっと!



「ついにあのゲームにも魔球が出るんすねぇ……」


「それに類する魔球も結構あるからな、あのゲーム」


「ああ、なんか浮き上がる球とかすっごい面白い曲がり方のシンカーとかだっけ? 色々考えてるよねぇ」


「今回、あまネキがブレーキをぶっ壊したから来年からはもっとぶっ飛んだのが出てくるんだろうなぁ」


「それが僕のせいってのはちょっと言い過ぎじゃないかなぁって思うんだけど???」



 学校からの帰り道。雑談交じりにケーちゃんコーちゃんに件の仕事について話すと、大変失礼な事をほざき始めた。僕は言ってみれば臨時雇いのパートタイマーであって、ゲームの流れを決めるのはゲーム会社の偉い人なんだよね。僕と魔球を理由にすればなんでも正当化されるなんて流れ、僕ぁ良くないと思うんだなぁ!


 ただ、僕のこの至極真っ当な正論もケーちゃんとコーちゃんには通用しなかった。魔球投げなきゃそうならないだろうってのはまぁその通りなんだけどね。しょうがないじゃん。勝負になると出るんだから……


 幼馴染二人に良いように言いくるめられた僕は、この心の奥から湧き上がるふんぬを野球にぶつける事にした。具体的に言うとテレビ関係で魔球を投げる仕事に。



【魔球ブラックエンジェル! 黒き翼の天使が空を駆けるような軌道でボールはミットに突き刺さり相手は死ぬ!】


「ぐわあああああいたくなあああい!」


「どっちやねん!」



 今回の魔球は試合で使う候補に入るね。黒い羽をばら撒きながら飛翔するボールの姿に度肝を抜かれたけど、実際は浮き上がって急転直下してミットに突き刺さるだけのボールだからちゃんと捕球すればダメージは皆無。なんて平和な魔球なんだ。


 ブーさんが大喜びで痛くないって叫んでるのが面白くて周囲の人が笑ってるけど、やっぱりサンダーイナズマボールみたいなあからさまな物ほど受けは良くないみたい。次はバランスを取るために火だるまになる奴か爆発する奴が良いかなぁと思っちゃう当たり、僕も大分げいのーじんに染まってきてるよねぇ。



「いや。罰ゲームにも当たり外れが出てきて正直今の方がドキドキ感があると思ってる。毎回大うけするってのはやっぱ疲れるんだよ」


「なるほどなー」



 ブーさんからお笑い芸人の極意的なものを伝授されるも、正直僕としてはあんまり使い道がないんだよねぇ。芸人さんの道を極めるつもりもないし。でも、何故か用意される楽屋が他の芸人さんと合同な事が多いんだよね。謎は深まんま……



「ところであまちゃん。今度海外の大会に行くんだって? 日本代表ってスゲーよなぁ。向こうで人殺して帰れなくなるんじゃないかって心配だよ」


「ブーさんは僕の事をどういう目で見てるのかな???」



 その心配だよってのは僕の身を案じての事だよね? まさかまさか魔球を投げられる相手国のバッターの事を心配してるんじゃないよね?


 ま、まあね。たしかにもう半分スレてきてる社会人野球マン相手に魔球を投げ込むのと、僕の事をいっさい知らない女子選手相手に魔球を投げ込むのとじゃ僕としてもちょっと罪悪感的なものがね。違うのはしょうがないというかだね。日本代表として日の丸を背負って戦う以上は僕も勝利に向けて邁進するつもりだからね。一生懸命頑張るよ。もちろん勝負は何が起こるか分からないものだから何かが起きてもおかしくはないけどね。うん。


 ごほんごほん。


 と、とはいえ今生では初の海外だし、ちょっと楽しみではあるんだ。外国の女子選手は中高生男子野球選手並にフィジカルが強い人もいるって聞くし、僕の投球術が諸外国のライバルたちにどこまで通用するか、今からわくわくして仕方がないんだよね。


 前回の大会では日本はアメリカに敗れて2位だったというし、今回はそのリベンジに監督を筆頭にチーム一同、皆燃え上がってる。僕も皆のやる気に便乗して、日本代表として頑張るぞぉ!

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