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【完結】1人だけ魔球投げれますが意外としんどい  作者: ぱちぱち


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第124話県予選ベスト4

「あまちゃん、ベスト4進出おめでとう!」


「あじゃじゃまーす!」


「時折出る、その謎の言語ってなに?」


「え。今のはありがとうございますの略ですけど」



 地区予選とはいえベスト4にもなるとメディアの姿も増えてくる。なぜかプロデューサー兼カメラマンさんは1回戦からカメラ持ってきてたけど、流石にその辺りの試合は一方的過ぎて地上波では流さなかったみたい。


 じゃあどうしたのかっていうとYOUCUBEの北埼玉デッドボールチャンネルで番外編としてメンバー二人の公式戦って事で配信されてるんだよね。気付かないうちにアンジーもメンバーにカウントされてるんだけどどういうことだろう。相手の同意なしで勝手に一員扱いするなんてひどすぎる! 謝罪と賠償を要求しないと!!!



「あまちゃん、次の試合は昨年敗れた大関東大付属ですが抱負をお聞かせいただけますか」


「敬遠は2度までにしてください!」


「「「HAHAHA!」」」



 僕の率直すぎるお願いに取材陣がガヤ笑を始める。僕とのインタビューの時は何故かガヤ笑を入れるってのが暗黙の了解というか、取材陣の中で取り決められてるみたいなんだよね。確証はないけど。プロデューサー兼カメラマンさんは口を濁してたけど絶対になにか裏で手を回されてる気がする。多分テレビ映えとかそういうのを意識しての事だと思うんだけど、インタビューの時くらい真面目にしたいんだよねぇ。


 やっぱりオンオフというか、お客さんを楽しませる時と情報を発信するときはちゃんと分けとかないといけないんだよ。いつでも楽しいものを提供するのは素晴らしいことだけど、それだけだと僕の発言がみんなギャグかなんかだと真剣に受け止めてもらえなくなるかもしれないからね。



「それならその『僕は魔球を投げたいです』看板は悪手じゃないかな」


「僕は真面目にこう考えてますよ! 口には出しませんが!」


「でかでかと胸元の看板に書かれてるからなぁ」



 まぁこの看板に関しては半分くらいふざけてるって言われる覚悟はして首から下げてるけどね。それにこういう事をしないと本当に3年間一回もマウンドに立てない予感がするからね。ジョークに包んでるから必死さは見えなくなってるかもだけど、魔球が投げられるようになるまでこれは続けるつもりだ。







 さて、ついにやってきたベスト4。後2回勝てば甲子園という試合に、うちのチームは二番手エースとしての地位を固めてきたケーちゃんを投入した。そしてベスト8でその姿を露にした公然の秘密兵器、アンジーはこの試合からスタメン入りだ。


 外野の専門家であるアンジーにレフトを任せてセンターは僕、ライトはあすみちゃんという布陣だね。アンジーは守備範囲も広いし肩も強いフィジカルエリートだから、これで外野はつよつよ強肩トリオになったわけだ。外野の守備力だけで考えるなら多分この組み合わせがベストじゃないかな。久留米さんはあんまり足速くないし。


 その久留米さんは前回の試合で完投したからベンチ入りで休養だ。聖ザは選手の育成に関してはハラキリトルシニアに近くて、一人に負担を集中させることは絶対にしないようにしてる。星監督としては才能がある選手こそ大事に育ててプロへの道を残してあげたいんだって。もちろん試合展開によっては代打で出てくるかもだけど投げさせることはまずないらしい。


 そういう育成方針だから安心して僕もこの学校に来れたんだけどね。高校野球で全てを壊した球児は、本当に多いんだ。僕の前世もそうだったから、余計に身につまされるんだよね。


 今生の僕の身体は幸いなことに非常に頑丈だし僕も意識して体作りはしてるけど、一度のケガで全てを失うのがスポーツ選手なんだ。怪我をしないように自分の身体は大事に手入れして、使っていかないとね。っと、話がそれちゃった。


 まぁ、そういう訳で一部の主力を休めつつ試合に臨んだわけだけど、ここで予期せぬ事が起きた。あ、悪い意味じゃなくてね。なんと我が聖ザ学園、この大一番で7回8-0でのコールドゲームを成し遂げてしまったのだ。


 いや、相手チームが弱かったんじゃないよ? ちゃんと甲子園を争うだけの力を持ったチームだったのは間違いない。登板してきた二年生エースは140後半の力のある速球を武器にガンガン三振を取るタイプで、立ち上がりにちょっと不安があるけどエンジンがかかれば手が付けられなくなる感じの人だった。と思う。


 その立ち上がりで塁を埋めちゃってアンジーに真っ向勝負をしかけちゃったのが、向こうのチームの最大の失敗だったね。スタメン初打席で満塁弾ってどこの主人公だよ。向こうさんはそれ以降ズルズルって感じで失点を重ねていって、この失策が打撃にも影響して7回終了まででケーちゃんは10奪三振を記録する事となる。流石にノーヒットは無理だったけど、1塁より先には一歩も足を進ませなかった。


 支配的。そういう単語が脳裏をちらつくくらいに今のケーちゃんは隙が無くて、相手ピッチャーの調子が悪すぎた。今回の試合を一言で言うなら、まぁそういう話だろうね。



「次は、負けねぇからな! 赤毛女ぁ!」


「? ワタシ、アカゲチガウ。アンジー」


「あ、お、おう……すまぬ」



 そしてアンジーに2ホームランもされた大関東大付属のピッチャーさんはアンジーに絡みに行って、アンジーの笑顔に再びホームランされちゃったみたいだね。アンジー、君も罪な女だよ……


 さて。去年は敗退したベスト4も突破して、いよいよ残るは決勝戦。ここで勝ち上がれば甲子園って場面だと当然相手もつよつよになってくる。数年前にハレンチ王子を擁して甲子園を制した西東京実業大付属。地元でもトップクラスの学校だ。


 ここを制すれば甲子園。改めてその言葉を頭に思い浮かべると、体の奥からふつふつと感情が湧き上がってくるのを感じる。甲子園が待ってると、僕の魂が叫んでいるんだ。


 絶対勝つ。そして、甲子園だ。


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